過去ログ - 八幡「346プロダクションに入社した」
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107:名無しNIPPER[saga]
2015/10/18(日) 23:16:25.08 ID:NHCPGKpZ0
件の喫茶店まで駆けつけると、結構な人だまりができていた。
どうやら店を占拠しているのは猫の子のようだった。前川、とかいっただろうか。メガホンを持って、机で作ったバリケードの中に立っていた。


「みくちゃん、もうやめよ?みんな困ってるよ」

「デビューのこと、プロデューサーさんに相談してみよ?」


数人が、と聞いていたが、思っていたよりも少数、というより一人だけのようだった。ほかのメンバーは止める側としてこの場に立っているらしかった。
しかし、デビューの相談とは何だろうか。順番についてもめているのかもしれない。


「…したにゃ。何度も。でも駄目だった」


隣でプロデューサーが息をのむのがわかった。


「なんで?なんでダメなの?みくたちも頑張ってるのに何で?」


その言葉は要約すると、どうして島村達だけデビューが決まったのか。どうして自分たちはデビューできないのかという話だった。
気持ちはわからないでもないが、それは仕方のないことだろう。たまたま島村達が大物のバックダンサーを務めることになり、それによる後押しがあってこそのデビューだったのだ。運がなかったとしか言いようがない。


「何が違うの?もっと頑張ればいいの?もっとってどれくらい?」


頑張る。
俺には、あの子がどれほどの間、どの程度努力し、忍んできたのかなんてわからない。慰めたり叱責したりする権利などありはしない。だが、脳裏に浮かんだのは、周囲に置いていかれようとも一心不乱に努力したであろう少女の咲き誇るような笑顔。今もこのボイコットを固唾をのんで見守る少女。少なくとも、彼女の健気さを「頑張る」などという一言でまとめて欲しくはなかった。



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