6:名無しNIPPER[saga]
2015/10/20(火) 02:48:08.52 ID:xvqSeYsQo
『知ったかぶ凛』
一面に広がる芝と屹立する数本の若い木。
基本的にプロダクションの中庭は混沌としていて、犬猫ぴにゃからイグアナ、トナカイまで幅広い動物がじゃれてることも珍しくないのですが、今日は不在のようです。
視線を巡らせれば目的の人が。
だけど、これは……。
「……寝てますね」
「……寝てるね」
凛さんと視線を交わします。
「……背中合わせですか」
「……背中合わせだね」
木陰の芝生に直接腰を下ろし、背中合わせに座る一組の男女。
……若葉さんとプロデューサーでした。こう、あの二人はへにゃっとしたりぼんやりしてる時は重なって見えるような人たちなので平時だったらスルーしていたかもしれません。
お互いの体重を預けるように背中を合わせて眠る二人に近づいてみると寝息が重なって聞こえます。
「あの、凛さん」
「……なに?」
「なんでこの二人は寝るなら仮眠室で寝ればいいのにこんなところで寝てるんですかね。よく、分かりません」
服も汚れますし、合理的じゃありません。
……そのはずなのに、穏やかな寝顔が二つ並んでいるとこれでいいような、変な気分になります。
「……それは、あれだよ」
「あれ?」
若干挙動不審に凛さんが目を右往左往させています。
「……あれはあれというか……そ、そう。プロデューサーはその、女の人の体温を体で感じることに幸福を感じるタイプの人なんだよ!」
「そうだったんですか」
なんて難儀な幸福なんでしょうか。
……やっぱり、大人の男の人はよく分かりません。
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