115:名無しNIPPER[saga]
2015/10/24(土) 22:32:49.77 ID:wlnW7ggg0
プロデューサーは私と違って、アイドル達に怒ることは滅多にありませんでした。
あの子達がミスをしたり、先方に迷惑を掛けても、自ら頭を下げて、何も咎めず――。
そんな彼のことを、優しい人だと思う子は多かったかも知れません。
しかし――不信感を抱く子も、中にはいました。
私が言うのもなんですが――怒るって、本気でやっているから怒るわけでしょう?
全部、あぁいいよいいよで済ますあの人は、どこまで私達に対して本気なんだろう――。
本当は私達のこと、どうでもいいと思ってはいないだろうか。
それを一番鋭く感じていたのが、おそらく美希だったんだろうと思います。
美希は、最期の日まで、あの人に心を開くことは無かったですね。
美希の方こそ、当初はアイドルというものに対して、本気ではありませんでした。
だからかな――他の皆とは一歩引いた視点で、あの子なりに彼を観察していたのかも。
一見、熱心に仕事をしているように見えるけど、自身の本音の部分は見せていない――。
そのことに、あの子は気づいたんですね。
最初の感謝祭ライブの前だったでしょうか――美希は一度、事務所を飛び出しました。
後から聞くと、プロデューサーを振り向かせるためだったそうです。
――あ、不純な意味じゃないですよ。
カモ先生の前で、証言台に立たせて本音を徹底追及したかったの、と言っていました。
詳しいことは、美希本人から聞いてほしいのですが――。
その一件があった後、美希は、目の色を変えて仕事に打ち込むようになったんです。
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