3: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:04:52.30 ID:sDzAusOBo
「いえいえそれは出来ません。
胡桃がハンマーで割れるのと同じようにウサミンがウサミン星人であるよーに。
この挨拶は当たり前でありけして破壊することのできない法なのです。
それを破ることは、ぐるりと私の周りを囲う聳え立つ煉瓦への体当たりと等しい、自殺!
いや、革命ですよ!」
4: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:05:46.77 ID:sDzAusOBo
「けれども私は安部さんには一心に煉瓦へぶつかってほしいと願うのですよ!」
かぁん、と。
どこからか網膜を殴り付けるように、金属が木材を打つかん高い音が空気を震わせる。
5: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:06:22.88 ID:sDzAusOBo
「わからないですって?
それはウサミンが閉じ籠っているからでは?
矮小な私とは違ってウサミン星人は輝きの中にいられるはずではないですか」
くるくると菊Pの頭が観覧車みたいに回る。
6: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:07:10.16 ID:sDzAusOBo
ぱっと、ウサミンの頭上にスポットライトが瞬いて、七色の輝きがウサミンの全身を踊る狂う。
散乱光を跳ね返すみたいに、ウサミンは額の前でバツを作る。
「わかりません。わかりたくありません!」
7: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:07:44.58 ID:sDzAusOBo
「あべななさんじゅうななさい」
突然の、奇声。
ウサミンロボが手を振り乱し地団駄を踏む。
8: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:08:31.22 ID:sDzAusOBo
ウサミンがウサミンロボにすがりつくと、優しく、溶かすように、鞭を放り捨てて慈愛を持って抱き締める。
ロボ達は母なのだ。
ウサミンの母なのだ。
9: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:09:28.30 ID:sDzAusOBo
「ーーー!」
声ならぬ声をあげてロボから離れる。
菊Pともロボとも同じだけ離れて、けれども二つに挟まれて。
10: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:10:07.49 ID:sDzAusOBo
「PさんPさん、私は麻痺しているのです。
きっと視界の端っこに消える幻を追っていただけなのです。
舞台の光は私のくすんだ瞳には眩しすぎて網膜が燃えて塵になってしまうのです」
きつく体を抱き締めて小さな兎がふるりと震える。
11: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:11:05.14 ID:sDzAusOBo
「いいえ、それは幻ではないのです。
見上げてください安部さん。
空にはあんなに満ち足りた星が笑っているではないですか」
煉瓦の向こう、壁の隙間をするりと抜けてPの声は兎へ届く。
12: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:11:43.40 ID:sDzAusOBo
「ああ……Pさん。
あれはあの星は……」
「そうです菜々さん」
13: ◆tBZNtx7HKo[saga]
2015/10/31(土) 04:12:09.67 ID:sDzAusOBo
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