過去ログ - 沙紀「ひとかけらの微熱を乗せて」
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6: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2015/10/31(土) 19:09:59.34 ID:8QRzfjZl0
「実はアタシもドキドキしてるっす」
多分俺と沙紀のドキドキはまた違うものだと言う前に、ひときわ大きな音で発車のベルが鳴った。
ゴゥンという大げさな音とともにジェットコースターは動き始め、まるで処刑台にのぼる罪人のような気分だと心の中でつぶやいた。
きれいな水色の絵の具をだだっ広いキャンバス一面に塗ったみたいな雲ひとつない空が視界に飛び込んできたけど、俺の心は分厚い暗雲が立ち込める不穏な空模様。
「大丈夫っすか? 真っ青な顔して」
その問いに対して壊れた人形みたいにうなづくしかできず、わざとらしいくらい息を大きく吸っては吐いてをひたすら繰り返す。
面接のときもこんなに緊張することはなかった。
今までにない心臓の動きに戸惑っていると、なにかあたたかな感触が震える右手をおおった。
「手、にぎっててあげるっす。少しは落ち着くんじゃないかなって」
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