過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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14:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 21:11:37.75 ID:08xPns3X0

九月十四日 午前六時 阿蘇市街


廃墟と瓦礫だらけの死んだ町。
焦土と化した阿蘇市街が、大小無数の幻獣に埋め尽くされている。

「オウルベア……! 重砲型幻獣がいる!」

その名の通り巨大な熊のような大型幻獣の一団が、大量のグレーターデーモンとそれより一回り小さいレッサーデーモンに囲まれ、進攻してきていた。
スキュラやゾンビヘリと言った空中ユニットこそいないが、遠方から大威力のレーザーを放つ重砲型幻獣(オウルベア)は脅威だ。

「煙幕弾を使うぜ! その間に」

「うん! 先頭を押さえる……!」

滝川からの通信と同時、頭上を煙幕弾が飛ぶ。
そしてオウルベアの一団を白い煙が遮断した。これでしばらくはレーザー攻撃を減殺できる。

三番機がその間に、敵の先頭集団にいるグレーターデーモンの一体に92ミリを撃った。
正確な射撃。一発で仕留める。
それに反応しデーモン、ゴブリン、アンフィスバエナ、中、小型幻獣の数百数千の群れが三番機へと向く。

「足を止めるなよ。起爆装置を潰すまでは慎重に行け」

無線から茜の声がそう言った。
瀬戸口は、もしかしたら人手不足を補うため、起爆装置探しに駆り出されているのかもしれない。

降り注ぐ生体ミサイルの雨嵐を、巧みにステップを踏みながらかわす。
そしてその激しい動きの合間にも接近する敵へ92ミリを放った。
大群を前にして、一歩も寄せ付けぬ華麗な攻撃。

「こっちにもいるぜ!」

滝川の軽装甲が、廃墟から廃墟へと、隠れながらジャイアントアサルトの銃撃を三番機に気をとられた敵側面に叩き込む。

「まいちゃん、デーモン7撃破! あ、8! 9!」

「滝川機、デーモン3、アンフィス2撃破。敵に寄りすぎるなよ」

ののみも茜も、巻き添えで倒れていく小型幻獣の数はカウントを諦めている。
それでも、数えることもかなわぬ大軍勢に対して、目先の撃破数が、支えになるはずだと、そう思ってのことだった。




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