過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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24:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 21:20:04.66 ID:08xPns3X0

「装備はトレーラーから適当にとって頂戴。整備班はパーツ交換急げ! 十分で送り出すわよ!」

原の怒声に、残っている整備班の面々は、文句も言わず威勢のいい返事で応じた。
パイロットの休息も、操縦席内で目をつぶるだけだ。

増援があったとはいえ、こちらと同じく一機では長く押しとどめられようもない。
三番機は二番機の修復を待たずして、先んじて戦場へと走った。

砲声と、爆発音が近づく。
厚志は、自然と穏やかな笑顔を浮かべていた。

あぁ、ここが、こここそが、僕らの故郷なのだと。

「死すらも超える……マーチを歌おう。時をも超える……マーチを歌おう」

ふと口をついて出たワンフレーズは、かつてこの九州にて、多くの学兵が口ずさみながら敵に突撃し、死んでいった、突撃軍歌。

ガンパレード・マーチ。

それが、伝染するように。

それぞれ、思い出すように。

滝川陽平が、田代香織が、茜大介、東原ののみ、森精華、果てには狩谷夏樹、原素子までもが、その唇に音を乗せ始めた。


 絶望と悲しみの海から それは生まれ出る

 地に希望を 天に夢を 取り戻すために生まれ出る

 闇をはらう 銀の剣を持つ少年

 それは子供の頃に聞いた話 誰もが笑うおとぎ話


「でもわたしは笑わない。わたしは信じられる」

背中ごし、芝村舞の声が操縦席内に響いた。
二人の、みんなの声が重なる。


 あなたの横顔を見ているから


速水厚志は、アクセルを強く踏み込んだ。





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