過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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25:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 21:21:06.59 ID:08xPns3X0


九月十四日 午前七時 草千里ヶ浜


ベヒモスやタランテラ、大型幻獣が焼け野原となった平原を狭しと踏み鳴らす。
その背には何十体という小型幻獣をそれぞれ背負い、足元にはグレーターデーモン、レッサーデーモンが時折踏みつぶされながらも、うじゃうじゃと付き従っている。

まさに、悪しき夢の波頭。絶望の光景だった。

しかしそこへ、一枚の花びらが宙に舞った。場違いなほどの美しさを持つ、薔薇の花弁。
波のように押し寄せる赤い目の群れが、そのたった一枚の花びらにそそがれる。

そして前方へと視線を戻した時、そこには優雅に立つ、人型の巨人の姿があった。
二本の角が天に伸びた髑髏の仮面。西洋の騎士のような甲冑。
そして腕には、二振りの超硬度大太刀。

ぞわり、震え、幻獣たちが一斉に竦みあがった。

「……そうか。覚えていてくれたか。……いやぁ、忘れられるはずないよなぁ…………お前達を最も殺したやつのことを」

大太刀を、ゆらりと構える。

「だが今の俺は、デクでもキッドでも祇園童子でもない…………」

幻獣の大群が数歩退いた。が、強烈な精神支配によって、再び前に歩みだした。
忽然と現れた敵、士魂号重装甲、西洋型を呑み込まんと一気呵成をもって進軍する。

「……瀬戸口隆之、参る!」

地面を蹴り、敵のただ中へと跳躍した。
西洋型めがけ発射されるレーザー、生体ミサイルの渦。しかし瀬戸口はそれをもろともせずかわし、敵陣へと着地した。
いや、着地したと見えたときには、既に周囲のデーモンらは斬られ、体液を噴いて倒れていた。

「はぁっ!」

重装甲とは思えぬスピード、反射速度で敵の合間をすり抜ける。
そして幻獣たちは、何が起きたかも分からぬままにばったばったと倒れていった。

脅威。恐怖。混乱。狂想。

絢爛たる舞踏を舞う者に、悪しき夢の海が蹴散らされていく。

ここに、草千里ヶ浜を進攻せんとしていた敵は、完全に釘づけにされた。





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