過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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36:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 21:32:15.36 ID:08xPns3X0


ろくに動けなくなった大型幻獣を乗り越え、未だ戦意を失っていない幻獣らが進軍せんとする。
その先に、またも巨人の影が現れた。
それも、今度は十機以上もの、本格的な人型戦車部隊が。

「どうやら、一足先に舞踏を行った者がいるようだな。……俺のぶんをとっといてくれて、感謝するよ」

先頭に立つミッドナイトブルーの栄光号重装甲が、不敵に言い放った。

「死にたいやつだけ前に出ろ! 少しでも己が理性を持ち、命を尊ぶものは、そのウドの大木の陰に隠れていろ!」

ウドの大木、と言われ激高したか、だらしなく地に寝そべっていたベヒモスの一体が大きく長い首をもたげる。
そしてその頭部から大型レーザーを発射、しようとした瞬間、栄光号重装甲の放った零式減口径砲の一発が、その赤い目を貫いていた。

さぁ来い……! ここがお前達の地獄だ!

それを火蓋とばかりに互いが雪崩れこむ。
真っ先に突撃したミッドナイトブルーの栄光号重装甲は、並み居るデーモンをまるで赤子の手を捻るように、易々と葬っていく。
追従する栄光号砲戦仕様、対馬、光焔号、光輝号数台、栄光号複座型が、惜しみない支援火砲によって、死神の舞踏に華を添えた。
最も遠くからは、栄光号軽装甲が92ミリライフルで敵を狙撃しては、素早く移動し敵の狙いから逃れる。

「さっすが隊長! 怖いぐらい強い……! わたしたちも負けないぞぉ!」

複座型操縦手の活発そうな少女が、うまくステップし敵の生体ミサイルをかわしながら、前へ前へと出る。
それに対し砲手の二枚目が眉をひそめた。

「俺達の複座は5121と違ってミサイルを積んでないんだ。突っ込んだって仕方ないぞ」

5121が結局士魂号を愛用しているので、余った後継機の複座型を譲り受けていた。
が、有線式ジャベリンミサイルは芝村舞のように使いこなせない。
ならばとステップワーク重視で、背部ミサイルポッドは排していた。

「その通りだ。隊長の邪魔はするなよ。俺達は支援を徹底するんだ」

無骨な人型、対馬に乗った生真面目そうな少年が言うと、四脚の光焔号からも、肩に背負った二門の120ミリ砲をぶっ放ちながら「そうそう」と声がする。

「わたしたちもだいぶ強くなったけどさ。あの人には全然かなわないって。最初に見せつけられた差が大きすぎるよ」

「役割に、徹すればいいから……」

「あいつの背中は、俺達が守る……!」

狙撃する軽装甲と、果敢に重装甲の後を追う砲戦仕様。二機に乗る、無口な少女と少年もそう応じた。
補給車、整備車両、トレーラーも予定の位置に隠蔽を完了し、同時に僅か数名の随伴歩兵も到着。
ここに第109警護師団、つまり、二一一天文観測班の戦力が集結した。

「大型幻獣の背後に隠れた敵は追うな。出てきたやつだけを叩きつくせ!」

言いながら、重装甲は弾切れした減口径砲を投げ捨て、ジャンプで一気に敵へと肉薄。
パンチで頭部を粉砕し、さらにその死体を盾に他の敵に接近。今度はキックでどてっ腹に風穴を空けた。

既に敵軍勢は手負いとはいえ、圧倒的物量を前にも人型戦車部隊は一歩も引かず……どころか、完全に優位に立って戦場を支配している。
その驚異的な戦いぶりに一度出てきた敵幻獣さえ、大型幻獣の背後へと戻っていく始末だ。

戦闘は、二時間と経たずに終結した。




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