過去ログ - 速水厚志「ハッピーエンドを取り戻す」
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6:名無しNIPPER[saga]
2015/10/31(土) 21:00:23.95 ID:08xPns3X0

「茜、そなたは殺されに来たのか」

「そんなわけないだろ。自分から死にに行くバカがどこにいる? 僕は天才だぞ」

「ふむ。ならば聞こう。何か策があるのか?」

半ズボンの少年、茜は、ふっと髪をかき上げた。

「当然」

そして嫌悪の視線を向け続けるカーミラに、真っ直ぐ向き合った。

「カーミラ。君はこう言っていたね。阿蘇は君の力の源泉だと」

「……」

「それからこうも言っていた。幻獣とは、石化の病から逃れるために、この世界に転移してきた別世界の人間だと」

カーミラは茜を睨んだまま答えなかった。
気にせず、茜は舞に視線を移す。

「つまりね、阿蘇には転移ポイントがあるのさ。この世界と、カーミラのいた世界をつなぐ」

「なんだと……いや、そうか。なるほどな」

舞は驚きもそこそこ、早々に納得した。
確かにそれならば納得がいく。カーミラがどうしても阿蘇を幻獣領にしたがった理由。敵が阿蘇を目指してくる理由。
阿蘇が、幻獣の湧き出てくる泉ならば、そこを押さえることは幻獣王にとって、安定した戦力の供給があることを意味する。

「しかも、僕が思うに、阿蘇は数ある転移ポイントでも最大の転移量を誇っている。違うかな?」

「…………だったら、なんだと言うの」

これまで隠してきた秘密を、カーミラはあっさり肯定した。
最早、隠しても無意味と悟ったか。それとも、秘密を見抜いた天才に、賭けてみようとでも決意したか。

「ふっ……簡単なことさ。敵を阿蘇まで迎え入れてやって、その転移ポイントから向こうの世界へ送り返しちゃうんだ」

はぁ、とカーミラは溜息を吐く。やっぱり期待外れ、とでも言いたげに。

「門は、一方通行よ。もしかしたら、そうではないのかもしれないけれど。……でも、私たちには門を使って自由に行き来する技術も知識もない。こっちへ来るのだって、自分達で門をコントロールしたわけではないのだから」

ならば、門とやらを活用することは不可能か。幻獣が湧くといっても、都合よく出現させられないのなら、増援でのカーミラ軍補強も期待できない。
舞は、むうと気難しげに眉間にしわを寄せ、額に拳を当てた。




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