過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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名無しNIPPER
[saga]
2016/09/11(日) 23:31:44.20 ID:zRoIW5BFP
織莉子は見滝原市の街並みに背を向け、奥で控える海香に歩み寄った。
織莉子「ありがとう、海香さん。これが報酬よ」
織莉子は海香に、野球ボールほどの大きさのグリーフキューブを手渡す。
それは沙々の操っていた大型の魔獣が落とした物だった。
海香はそれをしばし鑑定するように眺めた後、さも大事そうに懐に仕舞う。
海香「確かに受け取ったわ」
そのやり取りを眺めていたカオルが、後ろ髪をひかれるような思いで口を開く。
カオル「織莉子先輩、本当に私たちは行ってもいいのか・・・?」
織莉子「あなた達の友人が回復した以上、あなたを繋ぎ止めることのできる理由は無いわ。私たちの同盟もここまでね」
カオル「でも・・・」
織莉子「見滝原を覆う影の正体を解析してくれただけで十分よ。
それに私の目的は調査だったのだから。私もこれで、任務完了よ」
織莉子は静かに笑い、ペコリと頭を下げた。
織莉子「短い間だったけれど、ありがとうカオルさん。あなた達の友人にもよろしくね」
カオル「・・・」
歯を食いしばるカオルに海香は語り掛ける。
海香「カオル、目的を見失ってはダメよ。私たちは2つの物を同時に守れるほど強くない」
カオル「わかってるよ・・・」
カオルは織莉子に力強く頭を下げた。
カオル「短い同盟だったけれど、ありがとうございました織莉子先輩! 何かあったら呼んでください!」
カオル「あなたの友だちとして、いつでも駆けつけます!」
織莉子は口元に手を当てて笑った。
織莉子「ええ、頼りにしていますよ」
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