過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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名無しNIPPER
[saga]
2017/02/16(木) 23:34:30.34 ID:th4wfa/oP
「ママは・・・それでよかったの?」
少女は絞り出すように言った。
「夢が叶わなくて、それでよかったの?」
詢子「それでよかったんだよ」
詢子は笑っていた。
片手にはウイスキーグラス、そして空いた片手にはチューハイの缶を持って。
詢子は冷たいアルミ缶を、少女の頬にくっつけた。
「ひゃっ!?」
詢子「ほら、飲め飲め」
「えっ、でも・・・」
詢子は悪戯っぽく笑う。
詢子「腹を割って人と話す時は、自分も飲まなきゃダメなんだぞ」
少女はしばし躊躇った後、遠慮がちに渡された缶を開けて。
恐る恐る生まれて初めての酒を口にした。
「苦い・・・」
詢子「ははは、それがクセになるんだよ。慣れるとやめられなくなるぞ」
詢子は洋酒をグラスに注ぐ。
その洋酒は、ロックで飲むには結構勇気のいる度数だった。
詢子「確かに今の私は、最初に願っていたものとは違うのかもしれないけどね」
詢子はボトルを置き、グラスに持ち替えた。
詢子「けれども今の私は幸せだよ、パパだってまどかだってタツヤだって大好きだ」
「・・・」
詢子はグラスに口を付けて、ちびりちびりと舐めるように飲んでいく。
その横顔は、魔法少女が何万年をかけても辿り着けないような、どこか遠い異国の人物の様だった。
詢子「夢なんて叶わなくても幸せなのさ」
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