過去ログ - 贖罪の物語 -見滝原に漂う業だらけ-
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655:名無しNIPPER[saga]
2017/02/16(木) 23:34:30.34 ID:th4wfa/oP

「ママは・・・それでよかったの?」



 少女は絞り出すように言った。



「夢が叶わなくて、それでよかったの?」


詢子「それでよかったんだよ」



 詢子は笑っていた。

 片手にはウイスキーグラス、そして空いた片手にはチューハイの缶を持って。


 詢子は冷たいアルミ缶を、少女の頬にくっつけた。



「ひゃっ!?」


詢子「ほら、飲め飲め」


「えっ、でも・・・」



 詢子は悪戯っぽく笑う。



詢子「腹を割って人と話す時は、自分も飲まなきゃダメなんだぞ」



 少女はしばし躊躇った後、遠慮がちに渡された缶を開けて。

 恐る恐る生まれて初めての酒を口にした。



「苦い・・・」


詢子「ははは、それがクセになるんだよ。慣れるとやめられなくなるぞ」



 詢子は洋酒をグラスに注ぐ。

 その洋酒は、ロックで飲むには結構勇気のいる度数だった。



詢子「確かに今の私は、最初に願っていたものとは違うのかもしれないけどね」



 詢子はボトルを置き、グラスに持ち替えた。



詢子「けれども今の私は幸せだよ、パパだってまどかだってタツヤだって大好きだ」


「・・・」



 詢子はグラスに口を付けて、ちびりちびりと舐めるように飲んでいく。

 その横顔は、魔法少女が何万年をかけても辿り着けないような、どこか遠い異国の人物の様だった。



詢子「夢なんて叶わなくても幸せなのさ」



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