過去ログ - 男「いじめて、ごめんなさい」後輩「…」
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1:名無しNIPPER
2015/11/04(水) 01:33:53.61 ID:Cc7q5+eAO
僕が少年の頃は野球に夢中だった。

女の子みたいに育てられた上に周りから女の子みたいだといじめられていた僕にとって、野球は僕が男だと主張できる格好の道具であった。

さらに親にやらされた裁縫料理茶道勉強等ことごとく駄目だった僕が唯一周りの大人に誉められたもので野球であったこともあり
それに気をよくした僕はますます野球に打ち込み努力した結果、成績も残すことができ その時期にありがちな自らを過信する癖も出てきてしまった。
中学生にもなると、周りに自分より上の人間はいなくなり推薦で 一応強豪の学校へ合格することができた。

その学校は、県内で4番目くらいといわれており 後輩いじめの話も聞かず練習や監督がキツいって話もきかなかったため そこにした。

寮生活だったが、親元から離れられるので嬉しかった。 父は渋々ながら納得してくれた。
僕にセクハラできないのが残念だったのだろうが母は喜んでいた。
父を取られずに済むと思っていたのだろう、息子に嫉妬するくらいなのだから 愛というのは恐ろしい。

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2:名無しNIPPER
2015/11/04(水) 01:45:52.71 ID:Cc7q5+eAO
夢にまでみた寮生活。
某大阪の刑務所より酷いと噂の寮とは違い、ここの寮は楽なもんだよ、先輩の奴隷にされなくてもいいからと言われそれを鵜呑みにしていたその時の僕は馬鹿だった。

いざ入ってみると結局怖い先輩の機嫌を伺わなければいけなかった。
1年全員で先輩方の服の洗濯をし、朝は必ず先輩方より早く起きて掃除トンボがけ 先輩の配膳を行い、命令には絶対。
以下略



3:名無しNIPPER
2015/11/04(水) 01:52:03.66 ID:Cc7q5+eAO
逆らえるわけはないが、納得できない悶々とした物を心に抱えていた。

そんな僕の思考は行動に出ていたのだろうか、先輩方はそんな僕に対し、生意気だとかなんだと難癖を付け、暴力という名の教育をしだした。

暴力を振るわれてもありがとうございましたと言わなきゃいけない狂った世界観だった。
以下略



4:名無しNIPPER
2015/11/04(水) 02:04:58.80 ID:Cc7q5+eAO
毎日当然のように痛みや傷が身体上に重なっていった。
同期たちは、僕と同じように傷つくものもいれば 可愛がられて何一つ先輩方から教育されないような奴もいた。
奴らは「もっとうまいことやれよな…」だなんていうけど、そもそもそのうまいことやる方法がわからないんだからどうすることもできないのだ。
「やめずに頑張れよ!」だなんて薄っぺらい言葉を投げ掛けられても 心のどこにそれを引っ掛ければいいのかもわからなかった。


5:名無しNIPPER
2015/11/05(木) 23:33:52.63 ID:PXa+MRrAO
野球が好きだから、野球をしたかっただけなのに 、先輩の世話に時間を取られる。
夜、たまに練習に付き合わされるもただの雑用で結局自分の身になることはできずで。
結局睡眠時間を削らないと夜に練習することもできなかった。それでも僕は頑張った。

身体が壊れそうなくらいバットを振った、そうしないと自分が何のためにここにきたのかわからなくなってしまうから、気が狂ってしまいそうになるから。
以下略



6:名無しNIPPER
2015/11/05(木) 23:44:41.52 ID:PXa+MRrAO
3年が引退するまで長かった。
時期的には3ヶ月か4ヶ月程度だったが、永遠に思える程長く、まさに地獄であった。
暴力や罵倒は毎日受けていたが、毎日受けていてもその痛みに慣れることはなく、傷が上書きされていくだけで、僕はもう心を殺そうとしていた。
心を殺せば、何も感じなくなる。感情もなく、ただ痛みを受け入れるだけのロボットになれる。そうなるとどれほど楽かとずっと考えていた。

以下略



7:名無しNIPPER
2015/11/05(木) 23:53:38.58 ID:PXa+MRrAO
もっともストレスの大部分は2年の老害共が原因なので、3年がいなくなるからといって楽観的に考えることはやめた。

僕は野球をする機械なのだ。練習をし、理不尽に先輩から殴られ罵倒されながらもひたすら練習をした。
慣れるしかないのだ、何かを求めるわけでもなく、ただ痛みに慣れるために 痛みから逃げるために 野球の練習をする。これで良かったのに。

以下略



8:名無しNIPPER
2015/11/09(月) 02:01:46.58 ID:tbPP4N2AO
姿を見せたのは、3年の青木主将だった。

「こんばんは!」

悲しき習慣で意識せずとも背筋が伸び、大きな声が出た。
以下略



9:名無しNIPPER
2015/11/09(月) 02:22:19.01 ID:tbPP4N2AO
「え?…」

「練習。1人で素振りしてんの?」

青木主将は真顔でボソッと言い捨てた。
以下略



10:名無しNIPPER
2015/11/09(月) 21:44:42.44 ID:tbPP4N2AO
たったこれだけの話だった。そのあと、練習した後は特に二人で話することもなく終わった。
だが、これだけの事でも僕の心を大きく占めた。3年の中でもトップの青木主将に誉められたのは何よりも誇りに思えることなのだから。
この次の日くらいに3年は本格的に引退し、青木主将はもちろん3年皆がいなくなった、家が遠い人は卒業まで寮にいる人も何人かはいたが、それでも雑用等の仕事は大分量的に少なくなっていき楽になった。。
もちろん3年が引退したからと言って2年が僕ら一年への態度を軟化させることはなく、教育は続いた。

以下略



11:名無しNIPPER
2015/11/09(月) 21:57:14.50 ID:tbPP4N2AO
そして、 八番ファーストで僕の名前が呼ばれた。嬉しかった、嬉しかったのだがそれ以上に嬉しかったのは僕の名前が呼ばれた時 さっきの同期と違い場がざわざわしなかったのだ。
まるで僕が呼ばれることは想定の範囲内といわんばかりの空気だった、それが嬉しかった。僕の努力が認められていたようで もっともこの時の認識は大きく間違えていたのだが。



12:名無しNIPPER[sage]
2015/11/10(火) 15:41:16.81 ID:pKYHW1C50
いいね


13:名無しNIPPER
2015/11/11(水) 18:10:34.28 ID:VmYbdcwAO
僕は、また頑張った。練習終わり監督や部長に教えも乞うた。僕は、小さい時から、誉められることがとても好きだった。
あの胸がふわっと浮く感覚、あれを味わうためには僕は自分の身体すら厭わなかった。

監督はわざわざ僕に指導をしてくれた、「1人で素振りなんかしてたら癖で狂っちまう」と言い、「俺が見てやるから無茶すんな」と言ってくれた。
部員の多いうちにとって監督なんて雲の上の人、1年の僕には会話すらなかなかできる機会もない人だ、喜びに溢れた。
以下略



14:名無しNIPPER
2015/11/11(水) 18:40:20.79 ID:VkUb1XecO
面白い


15:名無しNIPPER[まさかレスがつくとは…]
2015/11/11(水) 19:40:46.08 ID:VmYbdcwAO
監督や部長に見てもらい、時にはグラウンドを使うこともあった。 とにかく練習をしなくてはならないのだ。
そして試合の日は刻一刻と迫ってきたある日、廊下で今の主将とスレ違った。僕は挨拶をした。
主将は僕の顔をみると ゴキブリをみたように顔を歪め、こう言った。

「お前…狂ってるんじゃねえの?」
以下略



16:名無しNIPPER[まさかレスがつくとは…]
2015/11/11(水) 19:53:29.24 ID:VmYbdcwAO
そしてあっという間に試合。
僕は身体が震えていた、活躍しなくちゃ活躍しなくちゃ 等と考え、誰かの声も全く耳に入らず。
身体が固い、青木主将や監督の顔が思い浮かぶ、それは失望染みた顔で、手足がさらに震えた。

…結局、試合中の事はあまり覚えていない。覚えているのは僕がその試合でヒットも打てず、ミスをしたこと。
以下略



17:名無しNIPPER
2015/11/11(水) 20:11:01.06 ID:VmYbdcwAO
そして次の試合でもまた次の試合でも僕はヒットを打てず ミスもして、結局4回戦では僕の出場もなくなった。
そしてその試合で我が高校は負けて秋季大会は終了した。 僕は何一つ爪あとを残せず終わってしまったのだ。
監督は何も言わなかった。部長は「悔しいか その悔しさはお前を強くする」だなんて言っていたがそんなことは心に響かなかった。
失望させてしまったのだ、僕を期待してくれた人を。頭が壊れそうだった、あれだけ夜もたくさん練習したのに 腰がいたくなるほど練習をした。素振りもシャドウもノックだってしてもらったし 特にストレッチや筋トレに力をいれて練習をしたのに。
真っ白になった、結局無駄だった。切り替えることはできず、夜監督や部長の所へ行くことなどもうできなくなった。
以下略



18:名無しNIPPER
2015/11/11(水) 23:07:54.58 ID:VmYbdcwAO
僕は野球への熱意が消えてしまったのかもしれない。
練習はもはや現実逃避にもならなくなり、ただ惰性的に野球をするだけの。これこそ、心が死んだように。
夜に練習はすることもなく、ただ辞めることも煩わしくなりただ惰性的に日々を過ごしていくようになった。
野球以外特技もなく性格上友達もいない僕は学生生活も淡々と過ごし冬はあっという間に過ぎようとしていったある冬の日。
忘れもしない、僕の学園生活が大きく変わったきっかけとなった日。僕が過ちを起こした寒い冬の日だった。
以下略



19:名無しNIPPER
2015/11/11(水) 23:18:47.46 ID:VmYbdcwAO
だから今の時期になると理不尽なことで怒鳴られたり殴られることはすごく減った。
それすら、僕には耐えられなかった。
怒鳴られたり殴られてる時は相手は僕のことを良くも悪くも考えている、そこには人との関わりがあるのだ。
今思うと、それすらも恋しい、今ではそういったこともない、僕は暴力を介してでも人の温もりが欲しい なんてこともこの時は思っていた。
期待じゃなくても、僕のことを思って欲しい 父もおらず野球もない今、僕に人との関わりはないのだ。
以下略



20:名無しNIPPER
2015/11/11(水) 23:40:05.48 ID:VmYbdcwAO
「返事しろやおいコラァ!」

この耳障りな声すらも懐かしく感じる、僕は人との関わりを求めていたのだ。

「また無視とかよ…舐めてんのかてめっ……あ…?」
以下略



21:名無しNIPPER[sage]
2015/11/11(水) 23:45:03.65 ID:uevUijpiO
揚げ足取るようですまんが「堰(せき)を切る」じゃないか?


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