15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/05(木) 19:50:28.94 ID:/9pLGy/20
「ただいま戻りました! 凛! 凄いぞ、テレビの仕事を取ってきた……ぞ……?」
そう言って社内に入ったが、そこがただならない空気であることは、一目瞭然だった。
電話の受話器を片手にただただ呆然と立ち尽くしているちひろさん。
そんなちひろさんにどういうことだよ、と大声で叫んでいる神谷奈緒。
ソファの上で、本田未央に抱きかかえられながら泣いている島村卯月。
そして何よりも俺に漠然として、それでいて明確な不安と恐怖を植えつける事実がそこにはあった。
凛がいない。
社内のどこを見渡しても、どこにも凛の姿が無い。
時間的にはもう戻ってきているはずなのに。
いない。
「ち、ちひろさん、これは、いったいどういう・・・・・・」
そんな不安を抱えながら、ちひろさんに問いかけた。
返ってきた言葉は、俺の心の中にあった、あるわけが無い、と信じていたものだった。
「凛ちゃんが、事故にあったって・・・・・・。横断歩道で、居眠り運転のトラックに跳ねられて・・・・・・! 意識不明の重態で・・・・・・!」
「え・・・・・・?」
しばらく意味が理解できなかった。
あぁ、言葉が出ないって言うのは、こういうことを言うのか・・・・・・。
今日は、初めての経験が沢山だな・・・・・・。
何秒経っただろうか。
数秒か、数分か。
明確な時間がわからずとも、理解に時間がかかったことだけは確かだ。
それと同時に、テレビ局から戻るときに見たあの光景を思い出した。
いや、まさか、な。
って、こんなとこで突っ立ってる場合じゃないじゃねえかよ・・・・・・!
「ちひろさん! 凛は、凛はどこの病院に搬送されたんですか!」
以前立ち尽くすちひろさんに必死に問いかける。
「凛ちゃんは、ここから近くの○△病院に搬送されたそうです」
「分かりました! 行って来ます!」
他のアイドルたちはとても声をかけられる状態じゃなかった。
すぐに会社を飛び出し、車に飛び乗る。
ちひろさんは重態だ、と言った。
ということは、死んではいないということだ。
しかし、命が危険な状態であることに代わりは無いだろう。
ここは一刻も早く病院に行かなければならないと、車を飛ばした。
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