69: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/18(水) 00:37:12.18 ID:opLhvimn0
その先は思い出したくも無い。
「くそ、何で俺がこんな目に遭わなきゃならないんだよ……!」
俺だけじゃ無いのはわかっている。
俺以外にもこんな辛い思いをしている人はいる。
だが、だから我慢する、というのも無理だろう。
外を見ると、いつの間にか雨は止んでいた。
時計を見れば、1時間ほど経っていた。
それだけしか経っていない。
俺と凛の1年間を思い返しても、半年間を飛ばしたとしても1時間ほどで終わってしまう。
そのくらいの関係。
そんな関係のはずなのだが。
ここまで思い出が深いのは何故なのか。
当然、それほどに信頼し合い、協力してきたからこそだが。
これからどうしようか、そう考えていた時、電話が鳴った。
相手を見ると、部長だった。
何故かけてきたのだろう。
無断欠勤をしているからだろうか。
出るつもりは無かった。
だが、それでも、この電話に出れば今の状況が変わるかもしれない。
いや、変わって欲しいと、ある種の望みをかけて通話ボタンを押した。
「もしもし? やっと出てくれた。何回か掛けても出ないもんだから心配したよ」
「すみません、寝てました」
「それならいいんだけど。今から会社来れるかな? 厳しいのはわかるけど、話しておきたいこともあるし、君、あの後凛さんの様子も見に行ってないだろ
う?」
「行きますよ。わかりました」
「おぉ、来れるなら良かった、それじゃ、待ってるよ、気をつけてきてね」
ここで行かないともう俺は駄目な気がした。
凛のお見舞いに行っていない、というのも理由のひとつではある。
物理的にも、精神的にも重い腰を上げ、よろよろと歩き出した。
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