39:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 23:35:37.81 ID:6LZx9kqto
― = ― ≡ ― = ―
「……あの、Pさん」
「三十秒な。いーち、にー……」
秋の夕暮れ。
少々肌寒さを感じる時間のせいでしょうか。
事務所から少し離れたこの公園には、子供どころか誰の姿もありません。
「……えっと」
木の幹で顔を隠して、Pさんがゆっくりと数え始めます。
仕方なしに私はその場を離れて、隠れる場所を探しました。
「…………」
やっぱり隠れる場所は決まっていて。
紅葉し始めた木々の中に登りやすい一本を探し当てました。
「よい、しょっと」
毛虫さんが居ないかよく確かめて。
スカートを引っ掛けないように注意しながら。
持ち前の気力で、数年ぶりの木登りに挑みます。
「……ふぅっ」
何とか無事に登りきる事が出来ました。
世界を、いつもより少しだけ高い目線で眺めます。
いつからでしょう、木に登らなくなったのは。
いつからでしょう、冒険をしなくなったのは。
いつからでしょう、転ばなくなったのは――
58Res/39.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。