12:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:16:08.15 ID:K0pC2q+ao
「用事」が多くなるにつれ、私はどんどん上手く話せなくなっていった。
時には自己嫌悪から不機嫌な声で電話にでたこともあった。
それでも和ちゃんは私の下手な言い訳に、毎回付き合ってくれた。
13:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:21:58.41 ID:K0pC2q+ao
どっちから言ったかのは憶えていない。ただもうそういう雰囲気だった。
こういうのも自然消滅というのだろうか?
その日は特に何も感じなかった。
14:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:26:22.74 ID:K0pC2q+ao
――
――――
朝6時、目覚まし時計が鳴っている。
15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:29:33.47 ID:K0pC2q+ao
あれから彼女とは2回程しか会っていない。
それに「会った」といっても、本当に顔を合わせた程度だ。
彼女のプロ入団祝いでも気まずくて、二言三言話して逃げてしまった。
16:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:32:57.51 ID:K0pC2q+ao
――
私は今、いろいろあって龍門渕家の図書館(私立図書館や学校図書館など)の司書をしている。
流石は龍門渕というべきか、蔵書の質も量も超一級である。
17:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:37:22.12 ID:K0pC2q+ao
この日、誰に見られているわけでもないのに、急に思いついたように私はいつもと違う角を曲がった。
……この先には清澄高校がある。
18:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:45:11.18 ID:K0pC2q+ao
あの美しかった桜は枯れ果て、葉の一枚もついていなかった。
もう冬の底なのだから当たり前なのだけど、やっぱり悲しかった。
今日は朝までずっとここにいよう。
19:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:47:07.79 ID:K0pC2q+ao
空が白み始めてきた。
結局和ちゃんは来なかった。
当たり前だ、誰も私がここにいることを知らないのだから。
20:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:52:23.76 ID:K0pC2q+ao
「まあ、何でもいいわ! 顔色酷いわよ、体もこんなに冷えてるじゃない! こっち来なさい、シャワーあるから!」
問答無用とばかりに清澄高校の宿直室へと連れて行かれた。
その間私は、文字通り声を出せなかった。
21:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:54:58.39 ID:K0pC2q+ao
久さんの家に着くと、途中のコンビニで山程買ったお酒を冷蔵庫に運び込む。
久さんは「ごめんなさいね。今テーブルの上片しちゃうから。美穂子がいるときは綺麗にするんだけど、居ないとどうも怠けちゃうのよね」とテーブルの上にある、小テストの答案や、自校や他校の牌譜を片付け始めた。
22:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:57:25.94 ID:K0pC2q+ao
どのくらい経っただろうか? 窓の外が暗くなっている。
私たちはずっと喋りっぱなしだった。
最近の出来事、仕事のこと……昔のこと――私は主に聞き役だったけど。
と、部長が急に切り出した。
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