過去ログ - 【咲-Saki-】「あなたへ」
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15:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:29:33.47 ID:K0pC2q+ao

 あれから彼女とは2回程しか会っていない。
それに「会った」といっても、本当に顔を合わせた程度だ。

彼女のプロ入団祝いでも気まずくて、二言三言話して逃げてしまった。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:32:57.51 ID:K0pC2q+ao
――

 私は今、いろいろあって龍門渕家の図書館(私立図書館や学校図書館など)の司書をしている。

 流石は龍門渕というべきか、蔵書の質も量も超一級である。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:37:22.12 ID:K0pC2q+ao

 この日、誰に見られているわけでもないのに、急に思いついたように私はいつもと違う角を曲がった。

 ……この先には清澄高校がある。

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:45:11.18 ID:K0pC2q+ao

 あの美しかった桜は枯れ果て、葉の一枚もついていなかった。
もう冬の底なのだから当たり前なのだけど、やっぱり悲しかった。

 今日は朝までずっとここにいよう。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:47:07.79 ID:K0pC2q+ao

 空が白み始めてきた。
結局和ちゃんは来なかった。

当たり前だ、誰も私がここにいることを知らないのだから。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:52:23.76 ID:K0pC2q+ao

「まあ、何でもいいわ! 顔色酷いわよ、体もこんなに冷えてるじゃない! こっち来なさい、シャワーあるから!」

 問答無用とばかりに清澄高校の宿直室へと連れて行かれた。
その間私は、文字通り声を出せなかった。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:54:58.39 ID:K0pC2q+ao

 久さんの家に着くと、途中のコンビニで山程買ったお酒を冷蔵庫に運び込む。

 久さんは「ごめんなさいね。今テーブルの上片しちゃうから。美穂子がいるときは綺麗にするんだけど、居ないとどうも怠けちゃうのよね」とテーブルの上にある、小テストの答案や、自校や他校の牌譜を片付け始めた。

以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 22:57:25.94 ID:K0pC2q+ao

 どのくらい経っただろうか? 窓の外が暗くなっている。
私たちはずっと喋りっぱなしだった。
最近の出来事、仕事のこと……昔のこと――私は主に聞き役だったけど。
と、部長が急に切り出した。
以下略



23:名無しNIPPER[sage]
2015/11/04(水) 22:57:46.28 ID:B/smhJ9F0
こないだ社会人久咲書いてた人かな?


24:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 23:04:24.43 ID:K0pC2q+ao

「会ってないです……。6年前からまともに話しもしてないです」
「やっぱり。って言うかもう優希とかから聞いてたんだけどね」
「なら聞かないでくださいよ」
「自分で言えるかどうかで、だいぶ違うでしょ?」
以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 23:06:19.93 ID:K0pC2q+ao

 今まで抱えてきたものや秘めてきた気持ちが堰を切ったように溢れだす。
自己嫌悪と自己憐憫という相反する感情。
和ちゃんに対する罪悪感と、それはただの自意識過剰なのではないか。
私の存在は彼女にとってただの通過点でしかなく、ただの過去の記憶の一部でしかないのではないか。
以下略



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