過去ログ - 「偽りだらけの魔王討伐、始めました」
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4:名無しNIPPER[saga]
2015/11/08(日) 19:17:30.24 ID:kiKX5uP40
【……魔王はまだ滅んではいなかったのだ! 狡知に長けた魔王は今でも、人界に魔の瘴気を放っている。瘴気に蝕まれ、心身を消耗させて、心に魔を宿らせてしまった者は後を絶たない。近隣の異族の動静も近年になって活発化している。先だっては天地が胎動する災異さえ起こった】

【勇者による封印は不完全だった。魔王を弱らせはしたが、その悪しき魂までを消し去ることはできなかったのだ】


侍従H「けど、神教関係は基本、教団の専権事項でしょう。教団が関知しない神託なんて現実的じゃない。やっぱり、この神託は偽りと見るべきよね。偽りの神託をごり押せる勢力なんて、この国には――って、え?」

侍従D「……いる。教団に隠したまま動けて、わたしたちが近付けない、存在」

侍従F「あーあー、なるほどね。そもそも神託が下りる人間なんて、本当は一人しかいないよね。百年前、女神サマから神託受けたやつの子孫で、この国の実質上の支配者様。たしかにそいつなら、教団には口出しできない」

侍従E「……勇者」


【……ここに今、女神様より今一度、魔王討伐の神託が下った。さあ、かの伝説の『勇者』の血を受け継ぎ、祝福を授けられし者よ。神託に従いて、三人の供と必ずや魔王を討ち、世に真の平和をもたらすのだ!】


侍従E「この国では、権力の源泉は『勇者』の血統。王家は勇者の直系ではないから発言権も低い。直系は勇者一族と騎士団長、教団主教ですが、騎士団は王家の飼い犬、教団は性質上勇者に傅きます。勇者が神託を受けたといえば、たとえそれが偽りでも、それで通ってしまう」

侍従H「“三人の供をもって魔王を滅ぼせ”――神託で言う供が騎士団と教団から一人ずつ選出されるのは、血統から言って当然。わざわざ“三人”にしたのは、残り一人としてあなたを指名するため、というわけね」

侍従F「供というより従者よねー。だってキミ、全然戦えないもの。“三人の供”ってのがあるから、ぞろぞろ護衛を引き連れてくと、神託に背くとか難癖つけてくるわけだ」

侍従D「駄目。ひとりにしたら、絶対すぐ殺される。誰でもいいから、いっしょに連れて行って」

「お前たちの素性が割れたら、俺は言い逃れの余地なく縛り首だぞ。――だが、いい機会だろう。どうせ、今のままでは打つ手がなかったのだから、この際、みんなが大好きな『勇者』様も利用させてもらうとしよう」


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