63: ◆d0hZ1USyYNJW[saga]
2015/11/10(火) 23:24:41.27 ID:Dc1LICFP0
その日の夜
すっかりもう日が短くなったな…
僕は居酒屋前で社長(といっても前の事務所のだが)を待ちながら、昼間とは様相を変えた街を眺める。
あっという間に秋も終わってしまいそうだな。
前事務所の社長(以下社長)「おお!モバPくん!久しぶりじゃないかい!」
モバP「お疲れ様です。お久しぶりです、社長。しかし今日は2人で飲もうだなんて珍しいですね。」
社長「まあまあ取り敢えず中に入ろうじゃないか。寒くて指先が取れそうだよ」
なんて言うと社長はいたずらっぽく笑って見せた。
乃々のようなかわいらしさは勿論感じられないのだが。
飲み始めてから2時間くらいたったかな。
社長は少し酔ってしまっているようだ。
社長「まったく…きみといい千川くんといい良い人材が次々といなくなったおかげでぇすごい私は苦労をしてだなぁ!」
…この話は今までに何度も聞いていますよ、社長…
心の中で僕はそう呟いた。
モバP「本当にご迷惑をおかけしました」
社長「しかしぃ…千川くんと言えばモバPくんよ。まだあの手紙については教えてくれないのかい?」
いきなりの右ストレートだ。
以前も何度か飲みに行った時に聞かれた事はあったがこんな唐突なのは初めてだな…。
2人きりだからか?
社長「私は彼女が命を絶った理由が未だよくわかれてないんだよ。別の遺書にはこの世に希望を見出せないなどと書いてあったが何故そんな結論に至ったのかが理解できないんだよ」
社長はあの事について知らないのか…?
千川さんが自分から話すような内容でもないし当然といえば当然か…。
僕は今までにあの遺書の事を他人に話したことはないし、これからも話すことはないと思っていた。
だが、この日の僕はなぜか口が軽かった。
昼間に遺書の事を思い出して、その時の罪悪感を誰かに話す事で楽になろうとしたのか。
わからないがなぜだか話してしまった。
もしかしたら社長なら慰めてくれるかも、なんて考えたのかもしれないな、このクズは。
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