過去ログ - 結衣「いやな夢」
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15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 23:54:47.76 ID:fk92G9zco
結衣(助けて……)



京子。


京子に会いたかった。


京子の笑顔が見たかった。京子と話がしたかった。今すぐにでも京子の温かい手を握りたかった。


結衣「どこだよ……京子……っ……!」


目を固くぎゅっとつむり、必死になって瞼の裏に京子の笑顔を思い浮かべる。


浮かんできた京子の顔は、自分の中にすぐさま不安とは別の明確な感情を芽生えさせた。


結衣(京子……!)


そうだ、京子を探してあげなくては。



京子だってきっと私を待っている。このおかしな世界、終わらない夕焼けの世界で私が来るのを待っているはずだ。


京子は本当は、私よりも怖がりで寂しがりなはずだった。少なくとも私は一緒に過ごしてきた時間の中で京子のそういった一面をよく覚えている。幼いころは泣き虫屋さんで、大きくなった今でもその根底は実は変わっていない。


歳を重ねる過程で、強がることと格好つけることを覚え……それで自分の弱みを覆い隠しているだけ。私にはそれがわかっていた。だからこそ京子が無理に明るく振る舞おうとしているときは、京子の傍にいてあげなくてはいけないという思いが静かに膨れ上がっていた。


京子を絶対に一人にしてはいけないのだ。誰も傍についていてあげなかったら……あいつは格好つけることすらできなくなって、泣いてしまう。


誰かが傍についていてあげないといけない……いや、私が傍についていてあげないといけなかった。


結衣「……っ……!」


もはや視界に入れることさえ嫌になった私の部屋に背を向け、京子の家へ向かって走り出した。


動き出した足はどんどんと速度を上げていく。胸の中の不安な気持ちが走り切る風で削り取られてしまえばいいとでもいうように、しまいには全力で疾走していた。


何もかもが苦しくて、心が張り裂けそうで、足を止めたら泣き叫んでしまいそうなくらい怖かった。




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