42:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/11(水) 00:11:20.63 ID:BRoeWTnho
濡れた手足をぽんぽんと拭きながら部屋に戻ると、ゲームの電源がつきっぱなしなことに気が付いた。
結衣「あれ……テレビは消したけど、こっち消してなかったのか」
テレビの電源をつけてみる。表示されたゲーム画面は京子がプレイしていたセーブデータだった。
パーティーキャラクターはみんな体力ゼロ。強大なボスを目の前に、中央には「GAME OVER」の文字が浮かび上がっていた。いつの間にかゲームは終盤にさしかかっており、しかし私が見る限り……パーティ全体のレベルは育っていなかった。
結衣(ここのボスは……強いからな)
下準備もあまりせずにぶっつけでガンガン進んでしまう京子のプレイングで越せるほど簡単なボスではないことを思い出す。レベルも上げて、装備も整えて……万全の準備を敷いてあげたい欲に思わず駆られた。しかし京子のデータに手をつけるのはよくない。京子が自分でやりたいと言った事は好きなようにやらせてあげたい……そんなことを考えていると、だんだん京子がこの局面をどう打開するのかが気になってきた。今度は私も寝ないように、しっかり見届けてあげなきゃ。
ぐ〜……
結衣(あっ……///)
落ち着いてきたら私のお腹が鳴った。自分が空腹であることを思い出す。
結衣(そうだ、ごはん作ってあげなきゃ……!)
冷蔵庫を開け、ちょうど良さそうな材料を吟味する。そこにあるありあわせの材料で何ができるかを考えてしまうのはもはや癖になっていた。
京子が好きそうなものを作ってあげよう……京子がいないときでさえ、そう思ってしまうこともあった。
結衣(今日はいつもより、ちょっと豪華にしてあげよう……京子が喜ぶように)
一人暮らしをするようになって、料理の大変さが身に染みてわかり、楽をしたいと思うことも少なくはなかったが……京子に作ってあげるときだけは別だった。
京子の喜ぶ顔を想像しながら作るのは……私にとって大切な「楽しみ」のひとつだった。
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