38:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:35:41.33 ID:0oXNO4iLo
「うん。きみは新入生?」
そう問いかけたところで、彼女と目が合う。
そのとき初めて、彼女の容貌をはっきりと意識した。
背丈は、高森よりは高いけど、部長よりは低い、ちょうどまんなかあたり。
低くもなく、高くもない。細く見えるのは、手足の関係か。
「はい」
どことなく緊張した様子。
それでも彼女は、ぎこちなく微笑んだ。
俺はひそかに見とれていた。
肩まで伸びた髪は、毛先までストンと落ちるようなストレート。
夕日のせいかもしれないけど、栗色に光って見えた。
雑木林の木々が風でざわめく。
不器用そうな笑い方。柔らかい雰囲気。
べつに際立って線が細いとか、色素が薄いとか、そういうわけじゃない。
それなのに、ふとした瞬間に滲むように消えてしまいそうな不確かさ。
気のせいだろうか。どこかで、会ったことがあるような気がする。
それどころか……いや、まさかだ。
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