過去ログ - 屋上に昇って
1- 20
38:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:35:41.33 ID:0oXNO4iLo

「うん。きみは新入生?」

 そう問いかけたところで、彼女と目が合う。

 そのとき初めて、彼女の容貌をはっきりと意識した。

 背丈は、高森よりは高いけど、部長よりは低い、ちょうどまんなかあたり。
 低くもなく、高くもない。細く見えるのは、手足の関係か。

「はい」

 どことなく緊張した様子。
 それでも彼女は、ぎこちなく微笑んだ。

 俺はひそかに見とれていた。

 肩まで伸びた髪は、毛先までストンと落ちるようなストレート。
 夕日のせいかもしれないけど、栗色に光って見えた。

 雑木林の木々が風でざわめく。
 不器用そうな笑い方。柔らかい雰囲気。
 べつに際立って線が細いとか、色素が薄いとか、そういうわけじゃない。

 それなのに、ふとした瞬間に滲むように消えてしまいそうな不確かさ。
 気のせいだろうか。どこかで、会ったことがあるような気がする。

 それどころか……いや、まさかだ。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/782.99 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice