過去ログ - 屋上に昇って
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5:名無しNIPPER[saga]
2015/11/14(土) 12:15:30.86 ID:0oXNO4iLo

「あのねえ、たっくんさ、ちょっと考えてもごらんなさいよ」

 おどけた口調、わざとらしい呆れ顔。
 今度はどこかのコメンテイターみたいなすかした感じで、彼女は言った。

"たっくん"は、俺のことだ。

「彼らは高一」、と既に閉めきった窓の外を指さして彼女は言う。
 次に自分の顎を人差し指でつっついて、「うちら高二」とけだるげに呟いた。

「ほーらね?」と彼女は得意顔になったけど、俺にはよくわからなかった。

「つまり、どういうこと?」

「たっくん、カレンダー見て」

 五月。

「五月だね」

「そう。五月。うちらにしたら、高二の五月。彼らにしたら?」

「高一の五月」

 トン、と両足を揃えてふたたび立ち上がると、彼女はツタツタと窓辺に歩み寄った。




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