60:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:11:23.91 ID:ZQjZY+y8o
「俺は……ロマンチストなんだよ」
「ほお?」
61:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:11:50.91 ID:ZQjZY+y8o
「これからもう、ああいうきらきらした景色に出会うことはないのかなって思うんだ。
ぜんぶ変わっていって、なくなっていって、残るのはこういう、やりきれない気持ちだけなのかもしれないって」
昔は何も知らなかった。何も知らなかったから、楽しかった。
62:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:13:29.77 ID:ZQjZY+y8o
「きらきらじゃなくなってしまった世界。楽しいことが過ぎ去っていく世界。なにもかも悲しくて悲しくてとてもやりきれないだけの世界。
いま、おまえが言ったのは、そういう世界のお話だ。違うか?」
「違わない」
63:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:14:33.91 ID:ZQjZY+y8o
その土曜は結局することもなくて、仕方なく本屋にいったり中古ゲームショップにいったりしたけど何も買わなかった。
昼食はマックで済ませて、あとは自転車でそれぞれの家に解散した。大概の土曜はそんな感じだ。
当然、日曜だって何か特別なことが起こるわけでもなかった。
64:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:15:00.28 ID:ZQjZY+y8o
「たっくん、どういうこと!」
「な、なにが」
65:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:15:36.54 ID:ZQjZY+y8o
そこからの俺と高森の行動は迅速だった。危険でない程度の速度で廊下や階段を素早く移動。
掲示板や壁をくまなく調査し、例のポスターが貼られていないかどうかを確認。
もし発見された場合はすぐに回収。画鋲は放置した。
66:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:16:31.92 ID:ZQjZY+y8o
と、高森の行き場のない怒りが疑念になって方々に向かいはじめたまさにそのとき、
「おおい」と校舎の方から声が掛けられた。
67:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:17:06.33 ID:ZQjZY+y8o
◇
そんな騒々しい朝の顛末の影響は、案外早く訪れた。
といっても、問題になったのはポスターそのものじゃない。
68:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:17:32.33 ID:ZQjZY+y8o
ノックの音は、なんとなく威圧的に聴こえた。どこか肩肘の張ったような。
でもとにかくノックはノックだったし、ポスターは回収したけど、一応文芸部は部員を募集中だ。
不意の来客があっても変なわけじゃない。
69:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:17:58.64 ID:ZQjZY+y8o
「いや。朝、廊下でその子とぶつかって」と、彼は高森の方を見た。
「あー」という顔を高森はした。
70:名無しNIPPER[saga]
2015/11/15(日) 19:18:38.96 ID:ZQjZY+y8o
なんでかわからないけど、俺は居心地悪く感じた。
「よくわからないんだけど、どうして文芸部って分裂してるの?」
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