889:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:04:39.71 ID:7uTUbjIMo
「でも」、とすず姉が言う。
「それって、同情ってこと?」
「違うよ」と、ちい姉が言う。
「たぶんわたしは、自分と同じような寂しさを抱えてる人のことを、好きになったんだよ」
同じような寂しさ。
同じくらいの寂しさ。
よく似た寂しさ。
「……遊馬は、最初、わたしのことが苦手だったんだって」
ちい姉はそう続けた。
「どうして?」と静奈姉が問う。
「強そうだったから、って言ってた」
「“強そう”?」
「ひとりでも、平気そうだったから。責められてるみたいな気分になったんだって」
ひとりぼっちが寂しくて、悲しくて、もがいている自分。
ひとりぼっちでも強くて、平気そうな誰か。
「今にして思えば、遊馬は、ひとりでいる人にばっかり声を掛けてた。
男友達だってちょっと浮いてるような人が多かったし、あの頃の文芸部の部長さんとかも、あんまり人と交流しない感じだったし」
「……わたしも、そうだったのかな」
すず姉が、そう言う。「たぶん、わたしも」、とちい姉が言う。
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