892:名無しNIPPER[saga]
2016/03/19(土) 00:07:29.91 ID:7uTUbjIMo
「でも、でもね、わたしにとって遊馬くんは、普通の男の子だったんだよ。
家族思いで、大人みたいに家のことに責任感を持ってて、面倒見がよくて、勉強ができて、
周囲から一目置かれてて、気取ってなくて、ちょっとばかみたいにはしゃいだりして、
そんな、かっこいい、あこがれの人だったんだよ」
――でも、それってやっぱり、わたしが遊馬くんのこと、ちっともわかってなかったってことなのかなあ。
静奈姉がそう言ったあと、少しの沈黙が、何かを埋め合わせるみたいに流れた。
「ごめんね」とちい姉が言う。
きっとその言葉を静奈姉に向けることを、ちい姉はずっと避けてきたんだと思う。
なんだか、傲慢に聞こえそうだから。
「ううん」、と静奈姉は言う。声は少し震えていた。
「ありがとう」と彼女は言う。
泣いているみたいな声で。
きっと、泣いているのだと思う。
わからないけど、たぶん。
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