過去ログ - 唯「わたしがオバさんになっても」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:17:29.79 ID:jnRZeB6L0
「帰るわ」
「珍しいね。泊まってけばいいのに」
「いや、今日はやめとく。あんまり帰らないとうるさいからさ。親も、聡も」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:18:12.45 ID:jnRZeB6L0
「次、いつ来る?」
「明日はちょっと遅いかも」
玄関のドアを開けると、まだ雨がかすかに降っている。
13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:20:17.74 ID:jnRZeB6L0
一人きりになると、時計の針の音がやけにうるさく聞こえるのはなんでなんだろう。
半分以上残った発泡酒を一気に飲み干すと、洗面所に足を向けた。
14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:21:15.95 ID:jnRZeB6L0
…
若さにこだわってる時点で若くないか。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:23:16.40 ID:jnRZeB6L0
★★
天井をぐるんぐるんとプロペラが回っている。
随分大きな窓から燦々と太陽が降り注ぐ、秋の午後。
16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:24:07.98 ID:jnRZeB6L0
「唯は梓とは連絡とってるのか?」
「んーときどき。会ってはいないけど。ライブやらなんやらで全国を飛び回って忙しいみたい」
たんぽぽコーヒーを飲みながら、澪ちゃんは遠い目をして窓の外を眺めた。
17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:26:37.95 ID:jnRZeB6L0
大学を卒業して一旦は一般企業に就職したあずにゃんが、本格的に音楽の道を目指して会社を辞めたのは働き始めて三年目のことだった。
あずにゃんは東京で働いてたから、その頃はもう全然会ってなかったけど、どんなに仕事が忙しくっても毎日ギター触ってたんだって。すごいね。わたし、卒業してからはろくにギー太、弾いてあげてない。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:28:48.74 ID:jnRZeB6L0
「そっちの方は順調なの?」
「そっち?」
19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:29:30.20 ID:jnRZeB6L0
憂は、国立大学の看護学科に進学した。
大学が離れ離れなのは寂しかったけど、憂が自分で考えて選んだ将来の夢を応援したかった。
そして大学卒業した後、希望を叶えて桜ヶ丘の病院の看護婦さんになり、数年してそこのお医者さんと結婚した。
20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:32:10.17 ID:jnRZeB6L0
「しあわせそうだね」
思わず口に出た言葉が、嫌味っぽかったんじゃないかと気付いたけどもう遅い。
21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:33:26.04 ID:jnRZeB6L0
「アイツ、あんまり家にも帰ってないんだろ。友達の家に入り浸りだって律ん家のオバさんから聞いてさ。唯のことだと思って。迷惑かけてゴメンな」
「なんで澪ちゃんが謝るのさ」
等間隔に植えられたイチョウの木は黄色と緑のグラデーションがかった色合いを見せている。
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