過去ログ - 唯「わたしがオバさんになっても」
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22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:34:05.80 ID:jnRZeB6L0
窓の外から視線を戻して澪ちゃんを見た。
わざと素っ気ない口調で喋ったセリフの効果があったのか、ちょっと気圧されたのか、ひるんでつまらせながらも澪ちゃんは続けた。
「いや…帰る家があるんだからちゃんと帰れ、って。いつまでも学生じゃないんだから。いい大人だろ。アイツも」
23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:35:59.69 ID:jnRZeB6L0
とは言っても久しぶりに大事な友達と会ったのに、イヤ〜な感じになるのは耐えられない。
胎教?にもよくないだろうしね。
「わたしも親がドイツに行っちゃったし、憂も結婚したし、ずっと一人で退屈なんだよ。
ほら、ウチの方が駅に近くてりっちゃんも便利だって言うし。別に迷惑でもなんでもないよ」
24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:38:43.04 ID:jnRZeB6L0
前の席の女の子たちが、ぎょっとしてこっちを振り向いた。
わたしはヘラヘラと愛想笑いを浮かべて頭を下げてみせる。
「澪ちゃん、落ち着いて。別にそんなこと言ってるわけじゃなくて。
さっきも言ったけどもうりっちゃんだっていい大人じゃん。やりたいようにさせといたらいいんじゃないかな」
25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:39:41.40 ID:jnRZeB6L0
「わたしはさ、律のことも唯のことも心配なんだ」
澪ちゃんの声がすっごく遠く遠くから聞こえる。
昔はすぐ隣からベースの音が聴こえてたのに。
26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:41:13.53 ID:jnRZeB6L0
「実はな、今日は唯に大事な話があったんだ」
よく見ると澪ちゃんの目頭が潤んで赤い。
これまでの会話のどこにそんな気持ちになるポイントがあったのかわたしには想像もつかない。
本気で心配してる? そう思うと心の中がどんどん冷え冷えとしていく。
27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:56:23.52 ID:jnRZeB6L0
★★
幼馴染に会えなくてさぞ残念がっているだろうと、同じ名前の日本酒を手土産に帰って来たわたしを、エプロン(憂の使ってたやつ)姿のりっちゃんが出迎えてくれた。
「なんだよその気遣い」
28:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:58:48.43 ID:jnRZeB6L0
今日は水炊きだぞ、と言いながらりっちゃんが鍋を運んでくる。
おおっ、これならお酒も進むね。さいこう!
29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:59:33.70 ID:jnRZeB6L0
「それでさぁ、埒があかないから言ってやったんだよ。文句があるなら日本語で言え、って」
「通訳の人もいたんでしょ?」
「いるけどさ…都合が悪いことは訳さないんだよ」
30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 22:00:47.80 ID:jnRZeB6L0
「りっちゃん」
「どした?」
31:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 22:01:23.48 ID:jnRZeB6L0
りっちゃんは黙ったまま両手を合わせてごちそうさますると、
ヒョイと鍋を持ち上げて台所に運んで行った。
この調子だとまた帰るとか言い出しそうだな。
32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 22:02:10.26 ID:jnRZeB6L0
「バックトゥーザフューチャーだよ」
「観たことあるよ、それ」
「わたしも、面白いよね」
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