過去ログ - 唯「わたしがオバさんになっても」
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16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:24:07.98 ID:jnRZeB6L0
「唯は梓とは連絡とってるのか?」

「んーときどき。会ってはいないけど。ライブやらなんやらで全国を飛び回って忙しいみたい」

たんぽぽコーヒーを飲みながら、澪ちゃんは遠い目をして窓の外を眺めた。
以下略



17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:26:37.95 ID:jnRZeB6L0


大学を卒業して一旦は一般企業に就職したあずにゃんが、本格的に音楽の道を目指して会社を辞めたのは働き始めて三年目のことだった。

あずにゃんは東京で働いてたから、その頃はもう全然会ってなかったけど、どんなに仕事が忙しくっても毎日ギター触ってたんだって。すごいね。わたし、卒業してからはろくにギー太、弾いてあげてない。
以下略



18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:28:48.74 ID:jnRZeB6L0


「そっちの方は順調なの?」

「そっち?」
以下略



19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:29:30.20 ID:jnRZeB6L0


憂は、国立大学の看護学科に進学した。
大学が離れ離れなのは寂しかったけど、憂が自分で考えて選んだ将来の夢を応援したかった。
そして大学卒業した後、希望を叶えて桜ヶ丘の病院の看護婦さんになり、数年してそこのお医者さんと結婚した。
以下略



20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:32:10.17 ID:jnRZeB6L0


「しあわせそうだね」

思わず口に出た言葉が、嫌味っぽかったんじゃないかと気付いたけどもう遅い。
以下略



21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:33:26.04 ID:jnRZeB6L0
「アイツ、あんまり家にも帰ってないんだろ。友達の家に入り浸りだって律ん家のオバさんから聞いてさ。唯のことだと思って。迷惑かけてゴメンな」

「なんで澪ちゃんが謝るのさ」

等間隔に植えられたイチョウの木は黄色と緑のグラデーションがかった色合いを見せている。
以下略



22:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:34:05.80 ID:jnRZeB6L0
窓の外から視線を戻して澪ちゃんを見た。
わざと素っ気ない口調で喋ったセリフの効果があったのか、ちょっと気圧されたのか、ひるんでつまらせながらも澪ちゃんは続けた。

「いや…帰る家があるんだからちゃんと帰れ、って。いつまでも学生じゃないんだから。いい大人だろ。アイツも」

以下略



23:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:35:59.69 ID:jnRZeB6L0
とは言っても久しぶりに大事な友達と会ったのに、イヤ〜な感じになるのは耐えられない。
胎教?にもよくないだろうしね。

「わたしも親がドイツに行っちゃったし、憂も結婚したし、ずっと一人で退屈なんだよ。
 ほら、ウチの方が駅に近くてりっちゃんも便利だって言うし。別に迷惑でもなんでもないよ」
以下略



24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:38:43.04 ID:jnRZeB6L0
前の席の女の子たちが、ぎょっとしてこっちを振り向いた。
わたしはヘラヘラと愛想笑いを浮かべて頭を下げてみせる。

「澪ちゃん、落ち着いて。別にそんなこと言ってるわけじゃなくて。
 さっきも言ったけどもうりっちゃんだっていい大人じゃん。やりたいようにさせといたらいいんじゃないかな」
以下略



25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:39:41.40 ID:jnRZeB6L0
「わたしはさ、律のことも唯のことも心配なんだ」

澪ちゃんの声がすっごく遠く遠くから聞こえる。
昔はすぐ隣からベースの音が聴こえてたのに。

以下略



26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:41:13.53 ID:jnRZeB6L0
「実はな、今日は唯に大事な話があったんだ」

よく見ると澪ちゃんの目頭が潤んで赤い。
これまでの会話のどこにそんな気持ちになるポイントがあったのかわたしには想像もつかない。
本気で心配してる? そう思うと心の中がどんどん冷え冷えとしていく。
以下略



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