過去ログ - 八幡「犯人を特定する?」
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12:名無しNIPPER[saga]
2015/12/10(木) 00:39:32.88 ID:6wSbO7neo
頭の中で葉山の言葉を反芻し思考する。
集団から一つの意思を向けられるということがイジメであるなら、他でもない葉山隼人。
彼が最もイジメを受けていることになる。
葉山は集団から『期待』という一つの意思を向けられているからだ。
そして周囲は葉山隼人という存在を特別視している。
これはある種の疎外と言ってもいい。

しかしそれが世間でイジメとされないのは、集団から向けられる意思がこの場合悪意ではなく、善意だからだ。

イジメ被害に遭うのも、人気者になるのも、周囲から悪意を向けられるか善意を向けられるか、それだけ違いなのだろう。

集団から向けられる期待。
周囲からの特別視。

ん?期待……?

「葉山、お前は期待されることは嫌だと感じるか?」

「……期待されるだけなら嫌とは思わないだろうな。そして俺は恐らく期待に答えようとする」

「だろうな」

俺は嫌味っぽく笑った。

俺は見落としとていた。
一番見落としてはいけない肝心なことを。

葉山が葉山隼人という存在であることを、周囲から期待されているのであれば、逆説的に俺も比企谷八幡という存在であることを、周囲から期待されてるのである。

例えば俺の目の前でイジメが起きたとする。
そして俺が「まずはそのふざけた幻想をぶち壊す!!」と熱く拳かざし体を張ってイジメを解決したとしよう。

これは周囲が期待する比企谷八幡のキャラクターではない。
つまり周囲の期待を裏切ったことになる。

同様に雪ノ下雪乃や由比ヶ浜結衣も例外ではなく、期待を裏切らないように、無意識下に周囲の期待する存在になろうとしているのだろう。

だからそれはーーー。
誰一人例外ではなくーーー。

「葉山、やっぱりお前は目の前でイジメが起きていたら止めるだろうな」

俺は皮肉混じりにそう言った。

「……だろうな」

と葉山は自嘲気味に笑った。

「比企谷、君はどうなんだ?目の前でイジメが起きていたら止めるのか?」

「止めない。俺の力では止まるとは思えない」

今度は俺が自虐的に笑った。

「君らしいな」

そう言って葉山は立ち上がり、「しかし」と続けた。

「止めはしなくとも、君ならきっと助けはするんたろうな」

「………?」

「それが俺と君の違いだ」

「何が言いたいんだよ」

「何でもないさ。まあ何か俺に手伝えることがあれば言ってくれ。協力するよ」

協力ね………相変わらずの善意なのか社交辞令なのか判断し兼ねるが、しかし今回の場合、結果次第では葉山の学内における影響力は大いに利用できる。
俺はそう判断し「よろしく頼むよ」と告げた。

思わぬところからパーツが出揃った。
あとはこれを組み立て実行に移す………簡単なことだ。
しかし俺にとっては最も難しく苦手な解決策である。
例えば由比ヶ浜結衣、彼女ならそつなくこなすだろう。
何故ならば、このやり方は他人と正面から向き合うという、俺が最も避けてきたことなのだから。


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