過去ログ - 軍人たちの艦隊コレクション
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229: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/01/16(土) 00:06:37.54 ID:+irLAoS/0

  「君の言いたいことは分かる」

  「だが、艦を任された身として」

  「この船をみすみす沈めるような真似は出来ない」


 少しの間を置いて呟くように答える

 俯きざまにそっぽを向いているため、顔の半分以上が帽子で隠れ、表情が読み取れない


  「だからと言って見て見ぬふりをして逃げられません!」

  「現に敵が現れて、彼女たちは戦っている」

  「演習に参加した者は戦うための武器すら持っていない」

  「この状況で自分たちが逃げたら……」

  「一体、誰が彼女たちを助けるのですか!?」


 殆ど怒鳴り声に近い、抗議の声を上げる

 本当はもっと別の上手い言い方があるのだろうが、そんなものは今の自分には思いつかなかった

 ただ、磯の香りによって呼び起こされたあの時の感覚が自分を焦らせる

 酸化した血のサビ臭い臭い、生気を失った肉体の重み、光を失った瞳の虚ろな視線

 それらが幼い少女たちの身に降りかかろうとしている現実が、己から理論的な思考を奪っていく



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