595: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/08/27(土) 20:57:57.82 ID:lyQ0MxM40
『任せとけ』と返事をすると、そのまま受話器を置いて通話を終了させた
すぐ隣に座っていた小林に軽く礼を言い、艦橋の正面を振り向くと、
「井上!」
舵輪を握る操舵手の名を叫んだ
「了解! 進路180に変更」
「取舵、3度へ修正します」
名前を呼ばれた井上は何の迷いもなく、進路変更の確認を復唱して応じる
いつ命令を出したのかと戸惑うが、冷静に考えればおかしいことは無かった
野田が使った非常電話は有事の際に艦橋の全ての人間へと情報を伝えるために、その音声はスピーカーによって拡散される
受話器から直接野田の声を聞いていたため気付かなかったが、会話の内容は艦橋の人間すべてに筒抜けだったのだ
「少尉!」
続いて、背後から自分の名を呼ぶ声が聞こえる
声のした方向を振り向くと、気象観測を担当している船員が声を上げる
「突風を計測しました」
「北方から風力6! 非常に強い風です」
彼も野田の通信を聞いていたのだろう、興奮を抑えきれないといった風に報告を重ねる
分の悪い賭けではあるが、こちらにも運気は向いてきたようだ
宗方兵曹長の報告から重く沈んでいた艦橋の空気が変わってきていた
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