615: ◆pOKsi7gf8c[saga]
2016/10/23(日) 09:51:27.34 ID:Jj5KE7Sa0
(今度こそ沈めてやろうということか……)
冷やりとした汗が、頬を伝っていくのが分かった
奴が全力を出した時の火力は新海軍の艦隊を一瞬で壊滅させるほどの威力を持っている
いくらこの船の装甲が厚いとは言っても、そんな化け物の斉射を受けたらひとたまりもない
文字通り、海の藻屑と変り果てるだろう
それは他の船員たちも察しているようだ
熱を帯びて膨張した空気が収縮し、ピリピリと張り詰めたものへと変質していくのが感じられた
「皆! ここが勝負どころだ」
「奴が撃つのが先か、こっちが先か」
「後はそれを見守るだけだ」
艦橋の全員へ向かって叫ぶ
ここまで来たら後は腹を括るしかない
生きるにしても死ぬにしても、覚悟を決めるしかないことを皆へ伝える
そのまま、彼らの反応を待たずに舵取台の方を向くと、
「井上、分かっているな」
敵を睨みつけるように正面を向いている井上へと言葉をかけた
「分かっていますよ、少尉」
彼は後ろを振り返ることなく応じる
さも冷静に分かっていたかのような口調だったが、心の中はそう穏やかではないらしい
その両肩は力んでふくらんでおり、舵を握る腕に力が入っているのが見て取れた
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