過去ログ - 四条貴音「おのまとぺをご一緒に」
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6: ◆8HmEy52dzA[sage saga]
2015/12/18(金) 19:05:14.52 ID:cSL4roIE0
03.
『ずずっ』と麺をすする音が店内にこだましていました。
しばしの時が経ち『ちゅるん』と最後の一口をすすり、『こくん』と嚥下します。良く打たれた小麦が喉を通る感触は、何度味わっても飽きるということがありません。
『ぺろり』と口をひと舐め。
すぅぷを飲み干したい欲望に駆られますが、先ほど自分で言った手前、さすがに遠慮しておきましょう。
「美味しゅうございました」
『とん』と、お箸を置いて頭を下げます。
「食べるの早いな貴音……替玉はいいのか?」
「……あなた様はわたくしをぶた太のように太らせたいのですか?」
「ははは、それはそれで似合うかもな。でもラーメンを食べてる貴音はかわいいよ」
「もう……」
本当のところは、もっとあなた様とお話がしたい。
些細なことや、くだらないことを楽しく話して時間を共有したい。
こうしてあなた様といるだけで、『とくん』、と高鳴るわたくしの臆病な胸の奥の音色は止むことがありません。
あなた様を想うと胸の奥が『きゅっ』とする。
それは響や美希に対するそれとはまた違う感情で、わたくしがあなた様をお慕いしている、ということの証拠なのでしょう。
ならば想いを伝えるという選択肢もあるのですが、産まれて初めて芽生えた異性に対する感情に、どうしたらいいのかわからない、といったところが本音です。
もし断られたりしたら、どうなってしまうのか自分でもわからないから。
「それとも、もしわたくしが太ってあいどるができなくなったら、あなた様が責任を持ってわたくしを貰ってくれるのですか?」
自覚していない箇所で錯乱しているのか、そんなわたくしらしくない言葉が口を突いて出る。
単純に、困ったあなた様のお顔を見たかっただけなのやも知れません。
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