過去ログ - 鳰/乙哉「大切な――を奪うには?」
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4: ◆UwPavr4O3k[saga]
2015/12/22(火) 04:22:56.55 ID:RlhB9fCY0

<学園屋上>

一発、締めのストレートを打ちこんで今日のトレーニングは終了した。

未だに不安感はあるが、しかし確かに掴めてはいる。あと一週間で、それを確かなモノに……。

そんな風に一人拳を見つめたまま黄昏ていると、何時の間にやらいくつもあったメロンパンを全て平らげていた鳰があたしのところにニコニコとした、意図の

つかめない笑みを浮かべながらも、背中で手を組んで歩いてきた。

妙に、フラフラと横に大きく揺れる様な。

ただ、そんな彼女の"歩き方"に違和感を覚えた途端、視界がグラグラと揺れ始めた。
疲労から来た立ちくらみだろうか、いや、にしては、明らかに……おかしい。なぜなら、すぐ目の前に、鳰、の―――――――

 
 鳰「……春紀さんに予告表は出させないっスよ。ウチのモノになるまでは、ね。」

 春紀「お前、の、モノ、だっ、てっ……?」


簡単な振り子による催眠術の一種、睡眠導入剤の効果もあるとはいえ、ゆらゆらと左右に揺れているウチの動きは疲労と緊張感から解放された無防備な春紀さんには充分な効果があった。



額を抑えながらも、何度も崩れそうになる両足でなんとか踏ん張ろうとしている春紀さんの姿は、まさしく生まれたての小鹿の様だ。

ウチはまだ幻術何ていう大層なモノは使ってはいない。やろうと思えば、いつだって幻術を掛けて彼女の身体を蹂躙出来るというのに。

ソレをしないのは、今こうしてこちらに向かって反抗的な視線を向けながらも苦しげな表情を浮かべる彼女の様子を見れば分かる事だろう。

それでは、奪う意味が無いからだ。


 鳰「(……あっさり堕ちて、ただの木偶なんかじゃあウチも相手してて面白くないっスからね。)」

 春紀「…ッ、て、めぇっ……質、問に、答え、ろッっ……」

 鳰「とはいっても人が来るとマズイので。さっさと済ませるっスよ、春紀さん。」


一度、パンと彼女の目の前で両手を叩くと、それまでの抵抗が嘘の様に糸の切れた人形よろしく春紀さんはその場に倒れ伏した。
気が強く姉御気質な彼女を象徴するかのような長い赤髪がしなだれかかっていく光景を、ウチは少し綺麗だなぁと思っていた。

倒れたとはいえぼんやりと意識は残っている……"あえてそうさせた"状態の春紀さんの顔元へ屈むと、彼女の顎を押し上げて視線を合わせて

 
 鳰「春紀さんはウチが柏手を打つと、全身の感覚が敏感になる。ほら、唇をなぞってあげるだけでも気持ちいいっスよね?」

 春紀「んぶっ……んぁ…」


体格差や力も、睡眠欲という人間の本能に訴えかけるウチの術によって全てが逆転してしまう。

程よい膨らみと艶のある薄ピンクの唇を、親指でなぞると、そのまま口内へと差し込み、ぐちゅぐちゅと唾液交じりの水音をわざと聞かせる様に激しく春紀さん

の舌を弄ぶと、それだけで彼女の身体がピクピクと震え始める。

じんわりと上気した頬に薄めでこちらを見つめる彼女の様子に、思わずこの場で襲い掛かってしまいたい衝動に駆られそうになるが、


 鳰「もう一つ、ウチが指を弾くと、それだけで全身が脱力して考える事を止めてしまう。」


パチン、と指を鳴らした途端、今度こそ春紀さんの全身から力が抜け落ちて眠りに落ちてしまった。
唾液が薄らと纏わりついた自分自身の手を一瞥しつつも、ウチは一先ずの目標を達成し、背中にゾクゾクとした心地よい感覚を感じた。




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