過去ログ - エツァリ「どこまでもお供しますよ、御坂さん」
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35:名無しNIPPER[saga]
2016/01/08(金) 21:09:41.82 ID:JH8XbMho0
エツァリには言っている意味が分からないようだった。
いや、正確には、理解したくない、の方が近いだろう。
そんなことが起こってはならない。そんなことが起こるわけがない、とでもいうように、
ぽかん、という表現が似合うような表情で、医者の説明を待つ。

「彼女、自分の傷を不思議そうに眺めていてね。
 まるで、どうして自分がここまで重傷になっているのか分からない――って顔をしていたね?」

そこまで聞いて、エツァリの顔がさっと青ざめた。
嘘だ、と彼は顔面蒼白なまま呟いた。
そんなのは、ダメだ。

エツァリの手が病室のドアノブを乱暴の掴む。
勢い余って美琴に掴みかかってしまいそうなエツァリの行動を制するように、カエル顔の医者は声を落とした。

「……君と彼女の間に何があったのかは知らない。だから、おそらく記憶の鍵を握っているだろう君がどう動くのかは任せよう。
 けれど、医者としていっておくよ――あまり彼女を、刺激しないで欲しいね?」
「……わかって、います」

医者と交わした言葉は、それで最後だった。
エツァリは病室の中へと消えていく。
その姿を、扉が閉められても、医者はしばらくの間、見つめていた。




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