1: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 09:38:33.38 ID:9s4XE4KR0
ちなつ「今年ももう終わりですね」
午後のごらく部室で、何気なくそうつぶやいた。
晴れているとはいえ外は12月の寒空だけど、部屋の中は効き過ぎなくらい暖房が効いていて、なんとなく気だるさが漂っている。
12月も30日ともなれば、師であれば走り回っていないといけないくらい慌ただしいはずなのに、
ごらく部の私たちしかいないこの空間にはそんな雰囲気はほんのかけらもなかった。
あかり「そうだね」
あかりちゃんが相づちを打つ。
あまりにも内容のない会話に、ちょっと笑ってしまった。
ちなつ「お茶でも淹れましょうか」
あかり「わぁい、あかりのど乾いてたんだ」
京子「私ものど乾いた」
結衣「ちなつちゃん、私の分もいい?」
ちなつ「もちろんですぅ!」
京子「じゃあ私汁なし担担麺なー」
結衣「のど乾いてんならせめて汁ありにしろよ」
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2: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 09:39:07.25 ID:9s4XE4KR0
流しの辺りの空気は冷たくて、それが少し心地いい。
湯呑みを4つ取り出し、お茶を注いでいく。何度も何度も、この場所で繰り返してきた日常。
年の瀬で学校もないのに、いつもと同じようにこうして4人で集まって、何もせずに過ごしている。
それはすごく嬉しいことなんだろうな、なんて。
大晦日とかお正月はどうするのかな。
3: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 09:39:36.27 ID:9s4XE4KR0
京子「ちなつちゃんのお茶を飲むのも今年はこれが最後か……」
あかり「明日も集まればもう1回飲めるよ?」
結衣「それはそうだけど、でもさすがに大晦日に学校の施設は使えないんじゃない?」
4: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 09:49:53.40 ID:9s4XE4KR0
京子「で、明日もごらく部やる?」
結衣「んー、私は実家に戻らないといけないし」
ちなつ「そうですねー、私も結衣先輩の実家に行かないといけませんから」
5: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 09:51:06.49 ID:9s4XE4KR0
***
あかり「みんなは大晦日ってどうやって過ごしてる?」
ちなつ「大晦日、かぁ……」
6: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:09:06.21 ID:9s4XE4KR0
あかり「初詣、あかり行きたいなぁ〜」
結衣「でも私、親戚の集まり抜けられるかどうか……」
あかり「そういえば、あかりも1日はそうかも」
7: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:09:42.76 ID:9s4XE4KR0
結衣「じゃあ、お昼前に行って、そのままうちに来る?」
京子「そうしよっかー」
ちなつ「どこの神社に行くんですか?」
8: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:14:25.33 ID:9s4XE4KR0
***
いつものように1年が終わり、次の1年が始まった。
私は大晦日にちょっと大掃除を手伝ったくらいで、あとはおせちを食べたりお年玉をもらったり、ダラダラ過ごしていた。
部屋で寝転びながら携帯をいじっていたら、ふとこの間あかりちゃんが言ったことを思い出した。
9: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:14:56.36 ID:9s4XE4KR0
ともこ「どう?似合う?」
ちなつ「うん、すごい似合ってる……でもなんで着物なの?」
ともこ「あかねちゃん……ほら、赤座さんと一緒に初詣に行くから」
10: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:15:29.43 ID:9s4XE4KR0
ちなつ「お姉ちゃん達も明日初詣行くんだ」
ともこ「も、ってことは、やっぱりちなつも?」
ちなつ「うん、ていうか、やっぱりって?」
11: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:16:30.96 ID:9s4XE4KR0
ふわぁ、と大きなあくびが出た。
いけない。このままじゃ完全にダラけきってしまう。
ちなつ「お姉ちゃん、せっかく着物なんだから初詣行かない?」
12: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:23:06.27 ID:9s4XE4KR0
***
次の日、集合場所のあかりちゃん家に着くと、あかりちゃんは律儀に玄関の前で待っていた。
京子先輩から昨日「10時にあかりん家の前」という文面だけの簡潔すぎるメールが来たから、
玄関の前にいるのは確かに正しいんだけど、わざわざ外で待っている必要は全然ない。
13: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:23:32.80 ID:9s4XE4KR0
ちなつ「雪、降らなくて良かったね」
あかり「うん、でも明日は雪みたいだよ」
ちなつ「えー、やだなあ」
14: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:26:16.64 ID:9s4XE4KR0
***
結衣「お待たせ」
ちなつ「結衣先輩!」
15: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:26:46.32 ID:9s4XE4KR0
京子「おっ待たせー!」
あかり「あっ、京子ちゃん」
京子「お年玉くれ」
16: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:27:21.39 ID:9s4XE4KR0
***
あかり「ここだよぉ」
17: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:28:26.26 ID:9s4XE4KR0
人が途切れる瞬間を待って、4人一緒に手を合わせる。
横目でチラッと結衣先輩の方を見たら、軽く目を閉じてお祈りする先輩の姿が見えた。
何をお願いしてるんだろう?
もっとも、結衣先輩の願い事が何であろうと、私のお願いは変わらない。
正面を向いて目を閉じ、頭の中で何回も繰り返す。
18: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:28:57.77 ID:9s4XE4KR0
結衣「お守りって、結構種類あるんだね」
ちなつ「あっ!恋愛成就!これにします!」
あかり「ちなつちゃんのお守り、可愛いね。色もピンクでぴったりだし」
19: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:29:48.51 ID:9s4XE4KR0
***
結局、4人で別々のお守りを買って、そのまま帰路についた。
途中のスーパーでちょっと買い物をして、結衣先輩の部屋にお邪魔する。
20: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/29(火) 10:30:25.33 ID:9s4XE4KR0
結衣先輩の机の上に、見覚えのあるお守りを見つけた。
さっき結衣先輩が買っていた、無病息災のお守り。それが紺のスクールバッグについている。
確か神社で買ってすぐ、先輩が持ってた黒いカバンに付けてたはずなんだけど。
21:♯nungelauaau[saga sage]
2015/12/29(火) 10:36:14.02 ID:sfujSm+i0
ゆるゆりSSイイゾー
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