112: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 14:03:54.62 ID:ZBSd0e9l0
あかり「あっ、京子ちゃんから返信来たよ。今は家にいるって」
ちなつ「これで間違いないわね」
あかり「行くの?」
113: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 14:04:43.68 ID:ZBSd0e9l0
ちなつ「あかりちゃん、ありがとう」
あかり「えっ?」
ちなつ「なんかいっぱい振り回しちゃったかな、って思って」
114: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 14:05:12.15 ID:ZBSd0e9l0
あかり「えへへ、今日言わないと忘れちゃうんだもんね」
ちなつ「あかりちゃん……」
あかり「ちなつちゃんと仲良くなれて、あかり、すっごく嬉しいんだ」
115: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 14:47:52.89 ID:ZBSd0e9l0
***
結衣先輩の部屋の前に立ち、チャイムに手を伸ばした。
胸に手を当てると、心臓の鼓動を感じた。いつだって先輩の部屋のチャイムを鳴らすときはドキドキする。
チャイムの音が鳴りインターホンのランプが付いてから、結衣先輩が出るまでの数秒間。
116: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 14:55:02.44 ID:ZBSd0e9l0
まだ胸のドキドキは治まりそうになかった。
この1年で生まれた思い出をひとつずつ思い出す。
結衣先輩に出会った時のこと。守ってあげる、って言われたときは、本当に王子様に出会ったような感じがした。
七夕のときに、おでこにキスしてもらったこともあった。あのときも今と同じくらい抱きドキドキしてたかも。
私と結衣先輩が出てくる紙芝居を作ったこともあったっけ。自信作だったし、結衣先輩も誉めてくれた。
117: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:00:24.45 ID:ZBSd0e9l0
握っていたお守りから手を放す。その中に、少し土で汚れたものを見つけた。
これがきっと、あのときの。
表を向けて、私は目を見開いた。そこに書かれているのは「恋愛成就」ではなかったから。
同じピンク色だったし、全部一緒なのかと思っていたけれど……
私の思い出を紡いでくれたそのお守りに刺繍された「良縁成就」は、多分何度繰り返しても叶うはず。
118: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:02:09.37 ID:ZBSd0e9l0
***
私が先輩のアパートのエントランスからでてくると、白い息を弾ませながらあかりちゃんが駆け寄ってきた。
119: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:03:56.07 ID:ZBSd0e9l0
ちなつ「あかりちゃん」
あかり「なに?」
ちなつ「……帰ろっか。寒いし」
120: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:22:18.12 ID:ZBSd0e9l0
***
帰り道、あかりちゃんと別れてから京子先輩にばったり会った。
121: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:30:10.26 ID:ZBSd0e9l0
長いトレンチコートにサングラスという、どう見ても怪しいいでたちの京子先輩がミラクるんの映画について熱く説明を始める。
どうやら私が呆れ顔で聞き流していることには気づいていないらしい。それともわざとやってるのかな。
てっきり京子先輩にも何か考えがあって先に帰ったのかと思ったけど、京子先輩は京子先輩だったみたい。
122: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:32:21.15 ID:ZBSd0e9l0
***
春。
ゆっくりと流れる季節を感じながら、私は2年生になった。
123: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:36:16.13 ID:ZBSd0e9l0
結衣「あっ、いたいた。あかり、ちなつちゃん」
ちなつ「結衣先輩!」
京子「帰ろうぜー」
124: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:54:52.01 ID:ZBSd0e9l0
学校を出ると、日差しがまぶしかった。
いつもよりゆっくり歩く帰り道は、いつもより色鮮やかで、街中に春の匂いが溢れているように感じた。
あかり「今日はすっごくあったかいねぇ」
125: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:55:36.92 ID:ZBSd0e9l0
京子「はぁ、はぁ……」
京子「私はもうダメだ、せめてここで奴らを食い止める。皆は先に行ってくれ」
結衣「それじゃ行くか」
126: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:56:51.71 ID:ZBSd0e9l0
結衣「ああ、割と最近できたんだよな、あそこの喫茶店」
あかり「あかり、行ったことあるよぉ」
京子「え、そうなの?」
127: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 15:57:39.04 ID:ZBSd0e9l0
中に入ると、他にお客さんは1人もいなかった。静かな店内にドアベルの音と知らない曲が漂う。
窓側の席に向かい、私は長椅子の奥側に入った。一番窓際に自分のスクールバッグを置く。
隣りに座ったあかりちゃんがメニューを渡してくれたけれど、私はほとんど迷わず決めてしまった。
他の3人もすぐ決めたみたいで、店員さんに思い思いの飲み物を注文する。
128: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 16:06:54.46 ID:ZBSd0e9l0
京子先輩が語っている間に頼んだ飲み物が来た。
それに気が付かず喋り続ける京子先輩を無視して、カップを持ち上げて息を吹きかける。
結衣先輩とあかりちゃんも同じようにしているのが見えて、少し笑ってしまった。
129: ◆K27FRRVqmQ[saga]
2015/12/30(水) 16:07:30.71 ID:ZBSd0e9l0
ローズティーを一口すする。
これが春の匂いなのかも、と思った。
ちなつ「微妙な味です、かね」
130:名無しNIPPER[sage]
2015/12/30(水) 16:33:47.57 ID:jrClb+E3o
おつ!
なんかあるかと思ったがなんもなかったな
131:名無しNIPPER[sage]
2015/12/30(水) 16:42:57.91 ID:S86uwbAAO
おつ
132:名無しNIPPER[sage]
2015/12/31(木) 03:06:39.81 ID:wwpUobIvo
こんなにあかりがかわいいssを読んだのは初めて
京子のギャグもキレてた
もっと読みたいよ
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