6: ◆c4DUj3OH/.[sage]
2015/12/31(木) 12:11:24.05 ID:YFxFRnZkO
提督「よし、受けよう」
扶桑「ありがとうございます、提督。ただし……」
扶桑がカードを集め、手際よく切っていく。
最後の勝負とあって、少しルールを変えることを扶桑は提案してきた。
俺は普通通りに、配られた二枚の札の合計値で。扶桑と山城は一枚ずつカードを持ち、その合計値で点数を競う。
そして最もカードの合計値が21に近かった方が、三万円と髪飾り二つと一葉の写真を手にするというわけだ。
その提案を聞いたとき、俺は拒否しようかと思った。
扶桑、山城、俺の3人であれば、扶桑か山城のどちらかが勝てば扶桑姉妹の総取りとなる。
そして俺は別にそれでいいと思ったからだ。
しかし扶桑は。
扶桑「ぜひこのルールでお願いします」
と譲らなかった。
一枚目のカードが配られる。
ハートのジャック。
二枚目のカードが配られる。
ハートの3。
合計値は13。
扶桑「提督、どうしますか?」
どうすべきだろうか。
ヒットを宣言し、もう一枚引くべきだろうか。
ここで9以上のカードを引く確率は50分の19。
決して分の悪い賭けではない。
しかし俺は。
提督「スタンド」
今の手札で勝負することにした。
扶桑「では、私達もスタンドです」
そう言って、扶桑は自身のカードを開ける。
スペードのエース。
山城「不幸だわ」
そう言って山城が場に出したカードは。
クローバーのエース。
合計値は12。
提督「なぜだ?」
ヒットを宣言し、もう一枚引いていれば扶桑達が勝った可能性が高い。
なぜ引かなかったのだろうか。
扶桑「それは、それを提督に持っていて欲しかったからです」
そう言って扶桑は、髪飾りと一葉の写真を俺に手渡してきた。
提督「これを?」
扶桑「ええ」
提督「なぜわざわざこんな周りくどいことを?」
山城「普通に渡したら受け取ってくれましたか?」
確かに受け取らなかっただろう。
「何を遺品みたいに。お前達はまた戻って来るのだから、こんな物はいらない」とでも言って。
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