過去ログ - モバP「15年ぶりの鷺沢文香」
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8: ◆Freege5emM[saga]
2016/01/03(日) 02:12:37.97 ID:d/9JR/ulo




「プロデューサーさんですね……お待たせいたしました。
 お久しゅうございます。鷺沢です」

俺が像のある広場で立ち尽くしていると、背中から声をかけられた。

「文香……こちらこそ、ご無沙汰で」
「私が東京から長野へ戻って、それ以来ですから……15年ぶり、でしょうか」



15年ぶりに見た文香の姿は、一目見たところ、さほど変わっていないようだった。

髪型は黒のセミロングでストレートのまま。前髪だけは歳相応に額を出していた。
夜の薄暗い中だから判然としないが、肌は記憶にある色より生白かった。
地味なスーツにやや大きめの鞄を抱えているのを見るに、大学から直行したのだろうか。



「こちらから呼び立てておきながら、遅参して申し訳ございません……」
「仕事だったんだろう、それなら仕方ない。学生か誰かが、質問に来たりとかしたのか。
 そうしたら文香の性格的に、きっちり納得するまで説明するだろうし」

文香はこちらを見つめたまま微苦笑した。

「図星かな。鷺沢先生は講義が終わるたびに、教壇に列ができる人気者だったり……。
 俺の学生時代に文香みたいな先生がいたら、何も無くてもムリヤリ絡みに行ったかも知れない」
「……おかげさまで、学生にもそれなりに構ってもらっておりますよ」
「お、文香の手前味噌とは珍しい」



俺の視線を避けるように、文香はくるりと向きを変えた。

「……お忙しいプロデューサーさんに、せっかくご足労いただきましたから。
 駅から少し歩きますが、いいお店をとっておきましたよ」
「では、お任せ致しますよ。鷺沢先生」
「……もう」

俺はどんな店に行くかわからなかったので、先導して歩く文香の後をただ追随した。
少し歩いて、駅前の繁華街が途切れたあたりで、文香が足を止めた。




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