過去ログ - 提督「おかえりなさい」
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41:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/05(火) 23:16:00.57 ID:s07CgCum0
提督に視線を向ければ既にシャツを汗ですっかりと濡らしてしまっている吹雪に対して、提督は額にうっすら汗を浮かべている程度だ。

提督は吹雪を微笑ましそうに見つめていた。

「初めて一緒に走った時はついてくるどころか途中でダウンしちゃってたのにね」

「そ、それは昔のことで…」

「さっき不思議そうな顔してたでしょ?艤装の話。それが答えよ。

改二になるには練度が必要。艤装を使いこなせるだけの心身が揃わなければ扱えない。

いくら明石ちゃんが頑張ってメンテをしても、扱う子がダメっ子さんなら意味が無いのよ」

「そんな、私なんてまだまだ ―― 」

言いかけた吹雪の言葉は唇にそっと当てられた人差し指によって掻き消えた。

眉をわずかに寄せて提督が吹雪を見下ろす。

聞き分けのない子供を叱る親のような表情だ。

「そんな事言っちゃダメよ。吹雪ちゃんは頑張ったって自分に自信を持っても良いのよ。じゃないとお姉さん怒るから?」

頬を染めながら吹雪は頷いた。





永遠とも思えた地獄はある日転機を迎えた。

それは指令室に呼ばれた日のことだった。

初めての指令室。

彼女に無関心だった提督は彼女を叱責しない代わりに激励することもなかった。

故に、最初に思ったのは「遂にこの日が来たか」というものだ。

解体される、役立たずの駆逐艦をいつまでも保有しておく理由は無い。

指令室に入ると、そこには机に腰掛けた提督と、もう一人男がいた。

すらりと姿勢の良い男だ。

綺麗な立ち姿の人、それが吹雪の抱いた第一印象だった。





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