過去ログ - 提督「おかえりなさい」
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42:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/05(火) 23:19:17.35 ID:s07CgCum0


『彼女が吹雪だ…』

『そうそう、この子だわ』

容姿は吹雪のいた鎮守府の提督とは比べ物にならない程に優れているのに、奇妙な言葉遣いの男だった。

軍服から彼が軍人、それも提督であることがわかる。

しかし、吹雪が演習で目にしてきた提督とは少し異なる。

丸刈りが多い軍人なのに、髪は最上よりも長い。

微かに香る甘い香りは香水だろうか。

その提督と思わしき男は、吹雪のボサボサの髪を痛ましげに見つめると、そっと撫でる。

その優しい手つきと、ほのかに伝わる温もりに思わず声が出た。

叩かれる以外で誰かに触れられるのが随分久しぶりだと思った。



『貴女、可愛いのに勿体ないわ。ウチにいらっしゃい』


何と言われたのか、すぐには理解できなかった。

あっけらかんと言い放たれた言葉の意味をうまく呑みこむこともできず、目を丸くした吹雪を優しく見つめると、

その男は吹雪の鎮守府の提督へと視線を移す。

彼が吹雪のいた鎮守府の提督とどのような関係かはわからなかったが、執務机に両肘をついて手を組んだ提督は、脂汗を額に浮かべ顔を歪めている。

『これでいいだろ…だから…』

『もう、まずお茶ぐらい出しなさいよ。そういう気遣いが出来ないのかしら?ねぇ吹雪ちゃん』

『え、ええ!?』

急に振られて、吹雪は何と答えて良いかわからず言葉に窮する。

『そんなんだからお爺ちゃんに見放されるのよ』

提督の肩がビクリと揺れた。

顔を青くするとはこういうことを言うのだろうかと、状況がつかめないまま吹雪はぼんやりと思った。




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