43:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/05(火) 23:23:36.69 ID:s07CgCum0
『総司令は…』
『この鎮守府は提督はボンクラだけど憲兵は優秀ね。手遅れにならなくて良かったわ』
『そんな…俺は艦娘を虐待するような真似は…あれは艦娘達が勝手に…』
『子供の不始末は親の不始末って言葉、知らないの?』
『子供?馬鹿な艦娘なんぞ…』
『はーい、そこまで。それ以上続けるなら左遷じゃ済まないわよアンタ。艦娘ちゃん達だからこそでしょ。
私達提督は見守る存在でなければならない。憲兵がどうして組織されたのか理解していたらそんなセリフ出てこないわよ』
呆れたように男が溜息を吐くと、提督は露骨に身体を震わせる。
その姿を吹雪はよく知っていた。
いつもの、「吹雪」に虐げられている時の彼女の姿。怯えた負け犬の姿だ。
『さぁ、吹雪ちゃん。今日から私が貴女の提督よ?よろしくね』
そういって差し伸べられた手を、小さな白い手がおそるおそる取った。
男 ―― 新たな提督が吹雪の頬を優しく白いハンカチで拭われて初めて彼女は自分が泣いていることに気付いた。
『ダメよ、女の子が泣くのを我慢することを覚えたら』
そういって抱き寄せられた瞬間、堰を切ったように熱い涙が溢れた。
軍服が涙や鼻水で濡れるのも構わずに提督は吹雪を抱きしめる。
ぽんぽんと、母親が泣く幼子をあやすように彼女の背を優しく叩く。
指令室に吹雪の嗚咽が響いた。
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