過去ログ - 結衣「うたかた花火」 【俺ガイル】
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62: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:14:49.28 ID:ZBNG2Zf6o
――よくそんなことを言えるね。

ボソリとそんな言葉が月をシルエットに夜空に浮かび上がった。

――本心でそんなこと思ってないでしょ?
以下略



63: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:15:22.71 ID:ZBNG2Zf6o
 高三、三月。

卒業式も一週間後に迫ったある日。学校の廊下を歩いていると突然、ヒッキーに話しかけられた。

「少しいいか?」
以下略



64: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:15:48.60 ID:ZBNG2Zf6o
鍵はヒッキーが持っていたようで、かかっていた鍵を開いて中へ入った。

「……珍しいね。ここにあたしとヒッキー二人なんて」

「そうか? 一色の時とかあったろ」
以下略



65: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:16:14.63 ID:ZBNG2Zf6o
「な、何かな?」

そしてわざとわからないフリをする。こうなることはわかっていた、だから、せめて最後まであたしらしくいたいとずっと思っていたんだ。

「俺は――」
以下略



66: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:16:41.19 ID:ZBNG2Zf6o
「……マジかよ」

「うん、マジ」

あたしがそう返すとヒッキーは掛ける言葉が見つからないみたいで、ただあたしの顔を申し訳無さそうに見つめる。見てくれなくても、ヒッキーは優しいんだ。
以下略



67: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:17:16.86 ID:ZBNG2Zf6o
姿が目に入ったらそれだけで嬉しかった。

声が聞こえたら無意識にそっちの方へ耳を傾けていた。

話しかけられたらもうその日一日幸せだった。
以下略



68: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:17:45.43 ID:ZBNG2Zf6o





以下略



69: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:18:25.30 ID:ZBNG2Zf6o
あたしが叫んだその言葉はまだ春になりきれない空気を振動してヒッキーに伝わる。

そして弱まった振動はやがて消えて、部室内に静寂だけを残した。

すると小さく、何かが床を打つ音がした。
以下略



70: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:18:51.69 ID:ZBNG2Zf6o
見慣れた廊下を必死に走って教室に入ると、そこには優美子の姿があった。

「結衣!? どうしたの!?」

あたしの様子に面食らった優美子は心配そうな声であたしに歩み寄ってくる。
以下略



71: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2016/04/13(水) 01:19:17.86 ID:ZBNG2Zf6o
 三度目の夏の日。

あたしの足がたどり着いた場所は、昔ヒッキーと一緒に花火を見たベンチだった。

あの頃よりも若干古くなったように見える背もたれに、かつての二人の姿を思い浮かべる。
以下略



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