26:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:19:21.56 ID:wkt/bPn4o
一分余りが経過しても、女は言葉を発しないどころかまばたき一つしない。
今頃電話が殺到していることだろう。
インターネットでは放送事故のつぶやきが駆け巡っているに違いない。
ざわめきが大きくなっていくのと対照的に男も腰を下ろしたまま固まったようになり、
27:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:20:31.20 ID:wkt/bPn4o
男は呼びかけもしなければ近づきもしない。
まるで女が死んでいるのを確かめることを恐れているかのようでもあった。
しかし男の胸中は異なる。
マイクも拾わない小さな「えぇ」という声を聞いた気がしたからだ。
28:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:21:38.65 ID:wkt/bPn4o
大病をした高齢の女性、であるからといって、話したいことがあるのに病院のベッドへ放り込むのは
ただの偽善だ。
今でこそお昼の帯番組の司会、と人々に認識されているが男の本質はアウトローだ。
だてに登場人物をダルマにして「これでいいのだ」などと言わせるような漫画家と親交が深かったわけではない。
29:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:22:16.22 ID:wkt/bPn4o
女「……」
30:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:23:15.95 ID:wkt/bPn4o
女「こんにちは」
31:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:24:10.43 ID:wkt/bPn4o
弱々しい、しかしはっきりと聞き取れる声。
一瞬客席は静まり、誰ともしれない拍手が始まると皆それにならう。
女には慈善活動家の一面もあり、出演した番組で獲得した商品などはチャリティに出して全額を
寄付していた。
32:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:25:17.91 ID:wkt/bPn4o
男「はじめまして」
場違いな台詞に、場違いな台詞を男が返す。
33:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:26:32.23 ID:wkt/bPn4o
女「つれないわね。私とあなたは随分昔からこの番組でお話ししてるじゃない」
再び沸き起こる拍手。
今度は意識がしっかりしていることに対して。
34:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:27:31.56 ID:wkt/bPn4o
女「もう番組終了ですの?あら残念、芸を見せていただく時間がなくなってしまったみたい」
男「また来年がありますよ」
女「そうですわね。来年もこうしてお話できるといいわね」
35:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:28:07.78 ID:wkt/bPn4o
男「はじめまして」 終わり
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・テレビ番組その他一切と関係ありません。
36:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/11(月) 16:51:00.61 ID:lPoA5vc8O
おつ
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