145:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/09(火) 15:39:29.82 ID:3HRQpZhh0
……来たのね。
「ええ。自分なりの答えは出せたから」
……で、どうするの?
「私はこれから、宮野志保として。工藤志保として生きるわ。もう灰原哀とは名乗らない」
……そう。私である事を捨てるのね。
「違うわ。捨てるんじゃない。もう、あなたという仮面をかぶる必要が無いと分かったからよ」
……仮面?
「私は、彼と結婚した後も彼に哀と呼ばせ続けた。それは怖かったから。過去も、今現在に起きるかも知れない不幸も」
「怖かったから、あなたを仮面にした。何かあっても、それは私のせいじゃない。灰原哀のせい。何か不幸があれば、それは灰原哀が不幸なだけであって私じゃない。そう思い込むためにね」
「でも、それは間違いだった。今回の旅を通じて思ったわ。結局、どこにいても私自身は1人しかいないんだって。何かあっても、それは自分の責任なんだって。やっと分かったの」
「灰原哀だった頃にも、楽しい思い出はたくさんあったのに。大人になってから私はあなたを都合の悪い事を押し付ける道具にしてしまった。ごめんなさい」
「もう、あなたに押し付けることなんかしない。私はあなた、あなたは私。灰原哀であった人生と、宮野志保の人生。2つ合わせて私」
「だから、私はあなたを受け入れる。そして、私自身に戻る。彼と一緒に、宮野志保としての人生を始めるわ」
「それが……。私の出した答えよ」
……そう、ならこれからも宜しくね。私。
「ううん。もうその言葉は適切じゃないわ。だってもう私達は」
……そうね。もう1つなんだものね。でも、根本は元々変わっていなかったのよ?気づいてる?
「ええ。分かってるわ。だって私もあなたも……」
【彼を愛する者同士、なんだから……】
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