47:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:21:50.85 ID:NYPOpsNEo
ちなつ「はっ!?」
京子「はい! カットー! いやーよかったよー! 二人とも!」
ちなつ「え!? ちょっと!? 何がどうしてるっていうんですか!?」
48:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:22:28.71 ID:NYPOpsNEo
*
ちなつ「あかりちゃん……私、どの辺りから気を失ってたかわかる……?」
帰り道、結衣先輩と別れた後、私はあかりちゃんにそう尋ねた。
49:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:23:01.32 ID:NYPOpsNEo
あかり「ち、ちなつちゃん、どうしたの?」
私がずっと見つめていると、あかりちゃんは恥ずかしそうに絡ませている腕を外した。
それでも私はあかりちゃんから視線を逸らさない。
50:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:24:01.71 ID:NYPOpsNEo
ちなつ「なーんて、冗談!」
私はそう言って、くるっと体をひねった。
あかり「え、え、え! もう! ちなつちゃん! びっくりさせないでよ!」
51:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:24:35.99 ID:NYPOpsNEo
*
あかり「いよいよ後三日かぁ……」
ちょき、ちょき、ちょき、とテンポのよいハサミの音が部室内に漂う。
52:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:25:09.68 ID:NYPOpsNEo
結局あれからキスの練習は一度もないまま、私は三日後の文化祭に臨まなければいけない。
多分明日と明後日は小道具の準備に追われるだろうし、一回台本を合わせられればいい方だろう。
こんな紙吹雪を作るより、結衣先輩とキスシーンの練習をしたかったのに。
53:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:25:59.16 ID:NYPOpsNEo
外から生徒の声がかすかに聞こえてくる。
文化祭の準備で外を出歩いている生徒が多いせいかは知らないが、
普段はほとんど人の寄り付かない部室の周りに、多くの生徒の気配がする。
54:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:26:33.37 ID:NYPOpsNEo
部室に静寂が流れる。
あかり「え、え、えっ? また冗談だよね、ちなつちゃん」
数秒して、あかりちゃんがたどたどしく口を開いた。
55:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:27:07.20 ID:NYPOpsNEo
あかり「え?」
ちなつ「あかりちゃんから、キスをして。今回は結衣先輩からして貰うんだから、練習もあかりちゃんからじゃなきゃ意味がない
じゃない。まぁ、出来ないなら、私からするんだけど」
56:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:27:40.17 ID:NYPOpsNEo
その瞬間、胸の中に温かいものが流れ込んできた気がした。
名状しがたいこの感情の正体を私は知らないけれど。きっと知らなくてもよいのだけど。
それでも、その感情は温かかくて、心地よかった。
私は今の感触を噛み締めるように一度頷いて、ゆっくりと閉じていた目を開けた。
57:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:28:21.65 ID:NYPOpsNEo
*
あかり「あ、ちなつちゃん、お早う」
ちなつ「う、うん……」
121Res/149.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。