93:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:53:05.82 ID:NYPOpsNEo
あかり「……あかりはね、ずっと主人公に憧れていたんだ」
そんな出だしで始まったその物語は、あかりちゃんの物語。
長い長い独白。一人の少女の物語。
94:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:53:38.48 ID:NYPOpsNEo
あかり「ちなつちゃんは主人公で、あかりの憧れだったのに、ちなつちゃんはあかりにいろいろ相談してくれた」
あかり「あかりなんて足元にも及ばないくらい光り輝いているのに、いつもあかりを頼ってくれた」
あかり「それがちょっとおかしくて、誇らしかった」
95:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:54:26.74 ID:NYPOpsNEo
あかり「だけど本当は、ちなつちゃんに魔法使いなんて必要なかったんだよ」
あかり「ちなつちゃんは主人公で、いつでもひとりで輝いていて」
あかり「ただその夢見る心で望むだけで、望むもの全てを手に入れられる人だった」
96:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:55:06.17 ID:NYPOpsNEo
そう言ってあかりちゃんは私に笑いかけた。
……なにそれ。
と私は叫びそうになった。
半分本気であかりちゃんに腹が立っていた。
97:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:56:04.31 ID:NYPOpsNEo
私はあかりちゃんの顔を見る。あの時と同じ横顔。
憧憬と諦観が入り混じった、それでいて穏やかでまっすぐな顔。
いつもとは違う横顔。
あかり「だけどちなつちゃんはあの空に、あかりを見つけ出してくれた。
98:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:56:46.95 ID:NYPOpsNEo
ちなつ「はぁ……あかりちゃんって、ほんとバカ」
私は大きくため息をついて、ベンチから立ち上がった。
そうして後ろで手を組んで、あかりちゃんの方へ振り返って、続ける。
99:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:57:49.52 ID:NYPOpsNEo
あかりちゃんの表情は分からない。私は振り返りもせずに、空を仰ぐ。
ちなつ「星空だって同じだよ」
ちなつ「星の光が地球に届くまでには、気が遠くなる程の時間がかかるから」
100:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:58:43.69 ID:NYPOpsNEo
二回目の告白。
だけど今後はさっきの告白とは違う。
ただ想いを伝えるだけの告白ではなく、
101:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:59:38.12 ID:NYPOpsNEo
*
epilogue
――時が流れた。
102:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 02:00:08.55 ID:NYPOpsNEo
ちなつ「最後だし、今まで使わせて貰ったお礼に、めいっぱい綺麗にして帰ろうね」
さっき自分が言ったことも忘れて、そんな言葉を口にしながらテーブルを磨いていく。
ごらく部の片付けは卒業式の日にしようと決めていたので、まだ部室には私たちの私物がいくつも残っていた。
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