19: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:06:02.98 ID:bWmXTMuZ0
P「それで、注意点ってのは?」
晶葉「赤いボタンがあるだろう。それは、ファイルの入っているフォルダそのものに移動してから電源を切るための脱出装置だ」
晶葉「そして現実世界に戻ってくるとき、P、君はファイルの状態をα状態に戻さなければならない」
20: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:08:03.05 ID:bWmXTMuZ0
晶葉「少し難しくなるが、フォルダとは、脳に定着している長期記憶のこと、ファイルとは定着しにくい短期記憶のことなんだ」
晶葉「だから、記憶が定着する前に、ファイルを書き換えないといけない。そのリミットが30分」
晶葉「もしも現実世界に戻ってくるとき、あるべき記憶ではなく、改変された短期記憶の中にいた場合、脳が錯覚を起こし、金輪際長期記憶にアクセスできなくなる。恒常的なブレインロック現象に陥るんだ」
21: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:10:03.22 ID:bWmXTMuZ0
P「……α状態に戻ろうとする場合は、どうすれば?」
晶葉「打ち消す願望を言えばいい」
P「……やばい。戻れてない」
22: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:10:37.96 ID:bWmXTMuZ0
晶葉「……なんだと?」
晶葉「Pよ……四回目の願望は、なんと願ったんだ?」
P「会話を、聞かなかったら、って」
23: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:12:34.82 ID:bWmXTMuZ0
晶葉「この装置は、フォルダBに絶対的な書き換え権限を持たせた上で、階層構造にすることによって平行世界を作っている」
晶葉「すなわち、マイクに吹き込む希望は、フォルダBから見た立場でなければならない」
晶葉「要するにPは、もし会話を聞かなかったら、ではなく、もし自分が何も願ってなかったら、と言わなければならなかったんだ」
24: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:13:29.41 ID:bWmXTMuZ0
P「確認しておきたい。その何とか現象になるとどうなる?」
晶葉「ブレインロック現象。長期記憶にアクセスできなくなり、当たり前のことがさっぱりわからなくなる。常時パニックで頭が真っ白、というようなものだ」
P「それって、かなりやばいよな」
25: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:15:32.16 ID:bWmXTMuZ0
晶葉「案ずるな。何もフォルダBに戻る必要はない。フォルダCの中で、フォルダBと同じ状態に持っていけばいい。仲直りさせればいいんだ。そうすれば、現実と平行世界の記憶に大きな齟齬が生じなくなり、ブレインロック現象も起きないはずだ」
晶葉「そのかわり、完全に仲直りさせるんだ。禍根を残してはならない」
P「仲直り……わかった」
26: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:25:20.82 ID:bWmXTMuZ0
P「……」
卯月「ダメです、そんなの! 凛ちゃんにはアイドルとしての自覚が足りないんです!」
凛「自覚ならあるよ。卯月の方こそ、今時そんな考え方じゃダメなんだよ」
27: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:26:36.60 ID:bWmXTMuZ0
P(そんな深刻な問題だったん?)
P(でも、アイドルとしての自覚が、とか言ってたし……)
28: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:27:18.30 ID:bWmXTMuZ0
P「……」
P(事務所のドアの外か)
P(二人の声が聞こえる……)
29: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/02/01(月) 16:28:01.89 ID:bWmXTMuZ0
凛「私はいいと思うよ。アイドルだって人間なんだし」
凛「見えないところで少しくらいわがままを言うくらいは、許されてもいいと思う」
卯月「ダメです、そんなの! 凛ちゃんにはアイドルとしての自覚が足りないんです!」
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